坂本龍一を語るなら
私は坂本龍一の良いリスナーではなかった。知っているのは有名なほんの数曲だけだ。
私が彼の名前を見ることが増えたのは震災のあとからで、大河ドラマのオタクとしては2013年『八重の桜』の主題歌でお世話になった。美しい曲でした。今でもすぐ思い出せる。全編、悲愴感に貫かれているから、ラストの穏やかさが沁みるんだよね。
これも、福島が舞台だから受けた仕事だろうと想像する。彼は反原発を掲げたフェスを開催し、首相官邸前でのデモにも参加していた。
とりわけ心に残っているインタビューがある。
先月は、小池都知事らに向けて、明治神宮外苑地区の再開発の見直しを求める手紙を送っていた。
メディアへのインタビューには書面で答えている。それほど体力が衰えながら発した手紙なのだ。
世界中のメディアが一斉に彼の死を報じ、世界中のアーティストやジャーナリストたちが悼むツイートを上げている。
日本のメディアは、彼の音楽的功績だけでなく、彼が著名人としての影響力をどのように行使しようとしたか、その発言や行動を報じてほしい。
そして、彼を悼む人は、必ず選挙に行きましょう。
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BTSのRMとシュガは、ごく若いころから坂本龍一の音楽に傾倒していたとたびたび話している。
坂本より40歳以上も若く、「アイドル」と呼ばれる彼らが、そのへんの日本人よりも詳しく慕わしく坂本の音楽を聴いている様子に、ファンになったばかりのころは驚いたものだ。
(まもなく、彼らが世界中のさまざまなアーティストの音楽をよく聴き、影響を受けていることを知るわけだが‥‥)
昨年9月に来日した際、シュガは坂本と対面している。
その前後だろう、東京のホテルでシュガが弾いた「戦場のメリークリスマス」のリール動画には、坂本龍一本人も「いいね」をつけていた。
(坂本はRMとシュガのインスタをフォローしていた)
つい1,2か月前、坂本龍一のサイトに「私が好きな坂本龍一10選」も寄せるなど、あこがれの人と親交を重ねていたシュガ。
訃報が出て間もなく、インスタグラムとファン向けのプラットフォームにコメントを上げた。
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