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『ブギウギ』第3週「桃色争議や!」

子役から本役に成長して1週目、「自尊心」についての話だな〜、と興味深く見た。
前週までで、鈴子(子役)は「お客様のために」というプロフェッショナル精神を教わる。けれど、それだけで続けられるのか?という話。

役がもらえないかもしれない、後輩より実力が劣っている。才能に恵まれていないかもしれない。不景気による人員削減。抵抗しようものなら「おまえの代わりぐらいいくらでもいる」とお払い箱に‥‥

配役や才能は「他者からの評価」であり、一方的な解雇や、「いつでも代替可能だ」という通告は、労働者として・表現者としてまともな人間扱いされないこと。
そういった障壁に対して折れてしまわないために必要なのが
「自尊心」である。‥‥という話なのだと思う。

実際、松竹少女歌劇部がストライキを行い、「桃色争議」といわれた史実があるらしい。ストライキをしたということは、雇用されている側である劇団員たちが使用者側である会社を相手に団結して、自分らの権利を主張したのは間違いない。

お客様のため、仲間のため、会社のため、社会のため。
それはもちろん大事だけど、「一番大切なのは自分自身です」

当時、このような言いまわしはなかったはずで、現代の視聴者に合わせた表現になっていたけれど、史実の出来事を通じて現代の視聴者に伝えたいことを描いているわけだから、これはこれで良いと思う。

自分を大切にすること
つまり、自尊心がなければ、他者の評価ばかり気になってつらい。
だからといって、「何事も自分の気の持ちよう次第でポジティブでいられる」みたいなことではなく、自尊心を保つためには不当な扱いに対して、毅然と立ち上がることも必要だと描いている。

会社から一時金で懐柔されてしまったピアニストの股野の姿は、それとの対照だ。自尊心が低いと抵抗できないし、抵抗できなければ、ずっとおどおどして生きなければならない。

股野の選択を責めることなく受け容れ、劇団員たちには
「ストライキに賛同しようがしまいが、私はどちらの考えも尊重します」
と言う大和礼子(蒼井優)は、強くて優しいリーダーだね。
自分を大切にするからこそ、他者にも優しくなれるし会社に対峙できる。
大和礼子の姿はそういうことなんでしょう。

桃色争議の史実のゆくえは調べていないけど、結果はどうあれ
「自尊心をもって行動した」そのこと自体が、人の自尊心を支えるのだと思う。

あ、お父ちゃん(柳葉敏郎)の脚本執筆も「やめるのは勇気がいること」というセリフもあったし、自尊心につながる話だと思うんだけど、お母ちゃんの「女の意地や」はどういうことなのか?こちらも関心をもって見てます。
水川あさみが本ッ当~~~~~~にいい。
ひとつひとつの演技がめちゃくちゃ人間‥‥こんなに良い役者になるなんて15年前は全然予想できなかった。大好きだー!

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