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『エルピス』3話 それは絶望した女を蘇生させる行為

あの二人があそこで関係してしまうのが最高で最低で最高だったんだが!!! やる、やるでしょ、私が脚本家なら絶対やらせるよなーって思いながら見てたらやった。解釈一致!w

あれ、セックスの最高峰のひとつやん。タナトス(死)からエロス(生)やん。だから人は生きられるんやん。

でも、それで生き返って同じように立ち上がっても、男は踏みつける側に、女は踏まれる側に歩みだしてるんだよね。セックスは対等でも現実は残酷っていう、あ~ミチゲッソ、チンチャ! 

「正しさに突っ走る」浅川恵那の危うさや傲慢も描いているところがいい。女をかわいそうなだけの存在にしてない。「女も人間だ」、ってこういうこと。

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しつこく「エルピス」の話でごめんやけど、わずか3話目にして浅川(長澤まさみ)と斎藤(鈴木亮平)の元恋人同士をセックスさせたの、ほんと納得の脚本でな。

いや私がセックスにこだわってるわけじゃなく、むしろその逆だと思っていただきたい。ふつうのことなんだよね。もともとそういう関係があった人たちだから、タイミングがあれば容易にまたそうなって全然おかしくない。

「ふつうにやる、それで生き返る」という営みとして描いたのが好みすぎる。人生は日々小さなことに救われながら続いていく。そのひとつがあの日のセックスなんよ。希望じゃなくて絶望になるかもしれんけどね。それがどっちなのか、すぐにはわからないのも人生なんよ。

そんでさ、自信も実力もあるエリートサラリーマンな斎藤(鈴木亮平)の造形と芝居がほんっっっっっっとうにイイ! 最高によくて最高にむかつく。よって、最高にイイ。

2話で浅川(長澤まさみ)が「あなたとのスキャンダルで干されたからじゃなく、その前から壊れてた、壊れてる自分をあなたに押し付けようとした」と、もんのすごいこと話したのに、奴は何も言わず帰っていった。

そして3話、「君に話したいことがあって」とノーアポで家に来たくせに、結局セックスしたら満足して話をせずに帰っていった。これだよ、これ!!!

仕事(実務)については浅川が気圧されるくらい饒舌にしゃべるのに、私的な言葉をもたないんだよね。

A.「話もしないのにセックスだけはする」
ではあるのだが、逆に言うと
B.「話ができなくてもセックスはできる」
でもある。

Aだけ見ると最低なようだけど、Bでもあるんだよ。
万の言葉より一回のセックスのほうが手っ取り早く人を生き返らせることもあるんだよね。浅川のほうからキスしにいったしね。

最低な男は時に最高でもあるんだよ。男と女はどっちもどっちでもあるんだよ。だからって、言葉は絶対必要だし社会構造は無視できないけどな!!!
(セックスのあとの2人の行動そして次回以降への引きね)

‥‥ってのを短い時間で活写したのが3話のラスト。

こういうの日本の地上波ドラマで見られるの、ほんとに稀有です。あや様(脚本)、亜裕美様(プロデューサー)、そしてまさみ様と亮平様、ほんとにありがとうございます!!! 
あ~ めっちゃ早口でしゃべった(書いた)

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