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件名:無題



 弦を思いっきり緩めないとチューニングが合わなくなってきた。
ほんの少し勇気のいる、大幅な調弦が好きではないから季節はなるべく1つで止まっていて欲しい。


春は夜が好き。夜風すら陽気になった帰り道にようやく春が来た、と実感するから。
そんな夜には「Someday My Prince Will Come」を鼻で歌って葉桜になった並木道をフラフラと当てもなく歩きたい。
もちろんトレンチコートと白いワンピースをひらひらさせながら。
わたしの春は少し遅いのである。


大学4年生になった。
ぎっしり詰まったシラバスを見てうーんと唸る。
学生生活最後だし、要領よくお手軽研究をあたかもしたかったことのような顔で続けるべきか、多少の苦労をも厭わず自分の好奇心に素直になるべきか。卒業研究、辛い選択だ。
こんな悩みを、卒業研究という大きすぎる課題を自分が持つ日が来るとは思わなかった。改めて、猶予期間も最終章に突入したんだなと感じた。


今日も、大学ではキラキラした、大学生活3年間をかけて頭を空っぽにすることだけ頑張ったかわいい女の子たちがマウントの取り合い、彼氏のスペック比べ、グループ内戦の悪口とインスタのスクショを繰り返して泥臭く輝いている。

どうせ人間、自分が一番可愛くて自分の正義があって譲れないものがあって、自分だけの攻撃と防御を持ち合わせてる。
そんな謎の哲学を持ってしまったわたしは人と、特に集団と薄い壁を作るようになってしまった。
キラキラ泥臭い集団とももう連まない。
合わせる、といったって限界もある。

「品性とは何を話すのではなく何を話さないか」
結局、これに尽きるしまともに生きようとすると確実に息苦しさと闘うことになる。

多分、集団で生きるのが苦手だ。生まれた時から学校
も大嫌いだ。
絶対に前世は狼。

そう思いつつも生まれ変わってまた女の子になれたら、チアリーディング部に入ってバスケ部の男の子と付き合うんだと決めている。





それでも桜は白く日光を反射して、西日はとろけるように甘い春がきた。

わたしだけの、幸せな日常を書いていきます。よろしく。


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