ビートたけしが描く、「本当の愛」とは。
2020/10/27 読書記録no.11『アナログ』ビートたけし
書店に並んだ、1冊の本。
私は、この本についた帯に惹かれて手に取りました。
なんと書いてあったかというと…
「愛するって、こういうことじゃないか?
凶暴なまでにピュア、初の書下ろし恋愛小説」
このインパクトのある言葉と、
ビートたけしさんが初めて恋愛小説を書き下ろしたという。
もうその事だけで、私には十分すぎました。
早速この本を抱えて、すぐレジに向かいました。
今日は、
そんな一瞬のうちに心を奪われた『アナログ』について、
書いていきたいと思います。
本について。
ビートたけしが、恋愛小説?と思った方もいると思います。
私もそうでした。笑
たけしさんと言えば、
アウトレイジのような強い言葉が飛び交う
いわゆる「ヤクザ映画」のイメージが強かったからです。
海外の映画賞に作品を持っていくと、
海外メディアから「バイオレンス映画しか興味がないのか」と
言われることが多かったようで、
その反発精神からか、
「だったら、別の分野もちゃんとやれるんだってところを見せてやろう!」と言うことで、書き上げたのがこの作品のようです。
将来の映画化を念頭に、
ゼロから自分で書き上げた恋愛小説だったんですね。
私はあまりハードな映画は好きではないので、
これまで、たけしさんの作品は見たことはなかったのですが、
この本を読んでみて、そのイメージが少しだけ変わりました。
すごくすごく、情景描写が綺麗なんです。
映画化されるために用意されたような、
綺麗な景色が頭に浮かぶんですよね。
そして、その光景がシンプルな言葉で綴られているため、
とても読みやすい。
あらすじ。
「お互いに会いたいという気持ちがあれば、絶対に会えますよ」
すべてがデジタル化する世界で悟とみゆきが交わした、
たったひとつの不器用な約束。
素性も連絡先も知らないまま、なぜか強烈に惹かれあう二人の、
「アナログ」な関係が始まった。
いまや成立しがたい男女のあり方を描き、
“誰かを大切にする”とは何かを問いかける渾身の長編。
読み終わってみて。
私は、この小説を読んで、
この現代だからこそ刺さるものが多く、
今だからこそ生まれた物語たと感じました。
とにかく今の世の中は、便利すぎるんです。
何をするにせよ、携帯があれば大抵のことはできます。
友人と遊ぶ時も待ち合わせ場所や時間は決めずに、
「今、ここにいます」と連絡するだけで問題なく会うことができますよね。携帯がない世界なんて、私は考えられません。
でも、この作品で描かれているのは、
今のデジタルな世界で、敢えてアナログに生きている人たちの物語。
毎週木曜日、お店で会う。
決めているのはたったそれだけ。
その日予定が入ればお店に行くことはできない、
でも連絡先を知らないからその理由を伝える手段もない。
しかし、そのムズムズとした関係が2人の関係を深くしていくんですよね。
そして私は、主人公である水島にとても共感しました。
相手にまっすぐ向かっていくんです。
すごく純粋で、可愛らしくて、ピュアで、頑張れと応援したくなる、
そんな男性。
人といつでも連絡を取れる時代、
また顔も知らない人と繋がれる時代、
情報が飛び交い、情報に溢れる、そんな時代を生きています。
自分で何かを考えたり、何かを生み出したり、何かを捨てたり、
そんな機会も、きっと知らないうちに減っているんだろうなと思います。
たまには、その便利なものを手から離して、
今の自分と見つめあってみるのもいいかもな、そう感じました。
10代、20代の世代はきっと新鮮に、
そして、携帯電話のない時代に恋愛をしていた
30代、40代、50代の世代は、
きっとこの小説の世界観、
アナログな恋愛を懐かしく思うのではないかなと思います。
また、たけしさんは「直木賞をとって見せる!」と強がる一方で、
「人生で一度だけ、こんな恋がしたいと思った」と、
ポツリと本音を漏らしています。
本当に、こんな恋愛がしてみたい。
喫茶店にでも、通い続けてみようかしら。笑
読んだことない方は、ぜひ手に取っていただきたい1冊です。
おりょう☺︎
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