見出し画像

選んだ場所に自分の足で歩いていくために、私たちは年齢を重ねる。

2021/5/29 読書記録no.36「対岸の彼女」角田光代

友人が角田光代さんをオススメしてくれて、
それからずっと、
本屋さんに行くたびに角田さんの本を見に行っちゃいます。

今日、TSUTAYAに行きました。
本命は今日発売の源さんの雑誌だったんですが、
なかなか見つけられなくて、探しきれなくて、というか無くて!!
(何故よ!何故ないのよ!笑)

ま、これは置いといて。ということで、小説コーナーに行って、
有川さんコーナーに行って、阪急電車を、
恩田さんコーナーに行って、蜂蜜と遠雷を、
角田さんコーナーに行って、別の本を手にとって。

源さんの雑誌がないのは、どうでもよくないけど、
これは私にとっては、一大事なことなんですけど、
今日は、読書記録で角田さんのことを書こうと思っているので、
とりあえず今は、置いておきます。


作品について。

結婚する女、しない女。子供を持つ女、持たない女。
それだけのことで、どうして女どうし、わかりあえなくなるんだろう。
ベンチャー企業の女社長・葵にスカウトされ、
ハウスクリーニングの仕事を始めた専業主婦の小夜子。
二人の出会いと友情は、些細なことから亀裂を生じていくが……。
多様化した現代を生きる女性の姿を描く感動の傑作長篇。
第132回直木賞受賞作。
夏川結衣、財前直見が主演、堺雅人、根岸季衣、木村多江、香川照之、
国分佐智子、多部未華子の豪華スタッフが共演したWOWOWのドラマは、
平成18年度芸術祭テレビ部門(ドラマの部)優秀賞を受賞した。


印象的な言葉。

P112 1人でいるのが怖くなるような沢山の友達よりも、
1人でいても怖くないと思わせてくれる何かと出会うことの方が、
うんと大事な気が今になってする。
P164 マニュアルってのは、あれしなさいとか、
これが常識だって説明するだけで、
違うって、感覚的に分かることを邪魔するんだと思う。
P321 なぜ私たちは年齢を重ねるのか。
生活に逃げ込んでドアを閉めるためじゃない。また出会うためだ。
出会うことを選ぶためだ。選んだ場所に自分の足で歩いていくためだ。


読み終わって。

読む前は、「対岸の彼女」というタイトルに疑問があって、
このタイトルにはどんな意味が込められているのか、と思っていましたが、
読み終わって、そういうことか…と納得しました。

結婚して家庭を持つこと、独身でいること、
仕事をしないこと、社長として会社を経営すること、
同じ年(35歳)で、同じ大学を卒業していようが、
それぞれ立場の違いというものが、もちろん存在していて。
それでも人は、その立場の上で葛藤し、
孤独を感じながら、生きているのだと痛感しました。

私はまだ24歳。本に出てくる人物は、35歳。
10歳も差があって、今いる環境と比べても、全て違っていて、
共通点なんて1つもなかったです。
きっと私が35歳になって、再びこの本を読むと、
また違ったものが見えてくるんだろうなって思うけど、
今の私にとっては、年齢ってそれほど重要なものではない気がしました。

それよりも大切だと思ったのは、上の言葉にもまとめている通り、


1人でいても怖くないと思わせてくれる何かと出会うこと
なぜ年齢を重ねるのか。
生活に逃げ込んでドアを閉めるためじゃない。また出会うためだ。
出会うことを選ぶためだ。選んだ場所に自分の足で歩いていくためだ。

この2つは、刺さりましたね。

大人になればなるほど環境や経歴、価値観が、
全部同じなんてありえない話で。
全てを理解するなんて、そんな難しいことはしなくていいから、
通じ合えた部分を大切にして、分かり合えない所を認め合って、
そうやって、それぞれが「孤独」や「人」と向き合えば、
年齢なんて関係なく、
人との出会いがきっと幸せに繋がっているのかな、と思いたい。
これから出会うであろう人全員とそうはなれなくても、
角田さんのこの考えは大切にしたい、ですね。


これから毎日毎日大人になっていく日々の中で、
この本に出会えて良かったと、思いました。
私の人生で、ドラマティックなことは特に起こる気配はないけれど、
これから何のために歳を重ねるのか、
自分なりの答えを出していけたらいいな、と。 

あと、最後に森絵都さんが解説をしてくださっているのですが、
この解説も痺れました。

おりょう☺︎

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?