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何が本当で、何が間違いなんだろうか。

2021/3/14 映画記録no.29「Fukushima50」

今週の金曜日、金曜ロードショーで放送されていたので見てみました。

この作品は見てみたいと思っていたし、
この10年という節目だからこそ見る価値はある気がしたし、
みないといけない、そんな風に思ったので、録画ボタンを押しました。

でも、正直、
このタイミングで、この映画を放送することは、
果たして良いことなのか、見終わってから疑問を持ちました。

今日は、その理由についてこの作品のことを、まとめていきます。


作品について。

『Fukushima 50』は、2020年3月6日に公開された日本映画。
門田隆将著の書籍『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』を原作に、東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力発電所事故発生時に
発電所に留まって対応業務に従事した
約50名の作業員たち・通称「フクシマ50」の闘いを描く物語。

監督は若松節朗、主演は佐藤浩市と渡辺謙。
新作の日本映画の中では初めてドルビービジョン、
ドルビーアトモスを用いた制作作業を日本国内で完結した。
ドルビーシネマでも上映された。
劇中に登場する電力会社の名前は東都電力に変えられている。
なお、東京電力は製作において一切無関係であり協力などはしていない。


あらすじ。

午後2時46分、マグニチュード9.0、
最大震度7という日本の観測史上最大となる地震が発生し、
巨大津波が福島第一原子力発電所を襲った。
津波による浸水で全電源を喪失して
ステーション・ブラック・アウト(SBO)となり、
冷却不能の状況に陥った原子炉は、
このままではメルトダウン (炉心溶融)により
想像を絶する被害がもたらされることは明らかだった。

1・2号機当直長伊崎ら現場作業員は、原発内に残り原子炉制御に奔走する。全体指揮を統括する吉田所長は部下たちを鼓舞する一方、
状況を把握しきれていない本店や官邸に対し怒りをあらわにする。
しかし、現場の努力もむなしく事態は悪化の一途をたどり、
近隣の人々は避難を余儀なくされる。
官邸が試算したこの事故による最悪のシナリオでは
被害範囲は半径250km、避難対象人口は約5000万人にも及び、
それは「東日本の壊滅」を意味する。
現場に残された唯一の手段は「ベント」(手動による圧抜き)で、
未だかつて世界で実施されたことのないこの手段は
作業員が体ひとつで原子炉内に突入して行う手作業が要求される。
外部と遮断され何の情報も入らない中、ついに作戦は始まる。


製作。

「復興五輪」と銘打たれた
「2020年東京オリンピック・パラリンピック」の開催を控え、
「今一度、震災の記憶と向き合い、
復興への思いを新たにする作品を世に問う、
それこそが映画人の使命である」として、
東日本大震災における福島第一原発事故を描いた本作が製作された。

撮影は実際の現場を再現した巨大セットを用いて、
2018年11月から2019年4月にかけて行われた。
原子力発電所以外の描写についてもリアリティを追求し、
「トモダチ作戦(Operation Tomodachi)」を再現したシーンでは
在日米軍横田基地にて撮影が行われた。
米国大使館関係者の協力を得て前例のない
アメリカ国防総省への撮影申請を行い、粘り強い交渉を経て撮影が実現。
作戦会議の場面では施設内の作戦会議室を用いて、
東北支援へ発進する場面では
米軍のヘリコプターUH-1を実際に飛行させて撮影が行われ、
また基地内で募集した本物の米兵が多数エキストラとして出演している。
本作には在日米軍が撮影に協力しているが、
これは日本の映画史上初の試みである。さらに陸上自衛隊の協力の下、
総理大臣が福島第一原発を緊急訪問した場面では
要人移動用の輸送ヘリコプターES-225LP「スーパーピューマ」を用いて、
空から原子炉建屋へ放水を行った場面では
大型輸送用ヘリコプターCH-47を用いて撮影が行われ、
放水シーンでは実際に作戦に従事した隊員らの協力により
被曝を防ぐためのアクリル板や装備などが
機体内部に忠実に再現されている。


キャスト。

佐藤浩市
渡辺謙
吉岡秀隆
緒形直人
平田満
萩原聖人
吉岡里帆
富田靖子
斎藤工
安田成美
和田正人                           など。


何が、本当なのか。

劇中では、ベントという作業が遅れ、
結果的に原子力発電所は爆発してしまった、となっています。
その遅れた原因として、総理が視察に来る、というエピソードがあって。

「総理が視察に来るから、今の状況を説明しなさい」と、上からの命令で。

現場のキャプテンは、
それどころじゃないと拒否するも、言うことを聞けの一点張り。
しょうがなくその条件を飲み、総理がヘリで現場へ到着。
状況を説明し、その後ベントが行われました。

これが遅れた原因だと。
総理が視察に来たから、作業が遅れたと。

そう描かれていて、全ては総理が悪者だと思っていたのですが、
こんな記事を見つけたんです。

この記事を書かれた方は、
当時総理だった菅さんの側で仕事をされていた方らしく、
総理がその時、どんな状況だったのか、がまとめられています。

日本の最高責任者である総理には東電からの直接の連絡はなく、
原発爆発は、私たち一般人のようにテレビで知ったそうです。
それで、直接聞きにいく、とヘリに乗ったと。

その裏側が全く描かれていないから、
劇中では、まるで総理が悪者で、厄介者で、
全ての原因のようになっているんです。

この記事を見て、何が本当で、何が間違いなのか、分からなくなりました。


10年経つともちろん、
東日本大震災のことを知らない年代もいて、
あの日何があったのか、それを説明する資料として、
もしこの作品が使われる未来があるとするなら、
それは、胸を張って「あの日はこんなことがあった」と言えるのかな、
と疑問に思いました。
私の胸に、引っかかるものがありました。

これを見た人は、
全て総理のせいで遅れた、そう捉えられてしまう可能性の方が高いのに。

私のように離れた場所にいる人は何も知らないし、
被災地にいる住民の人も何も知らない。
本当のこと、真実のこと、それは現場にいた限られた人しか知らない。

だからこそ、もっとリアルな、もっと正確に、もっと忠実に、
作品に落とし込んで欲しかった。

何も知らないからこそ、何があったのか、真実を、本当に知りたかった。

だから、この作品は少し残念、だと思いました。


おりょう☺︎


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