見出し画像

「恋愛とは…」「人を愛するとは…」

2021/5/24 読書記録no.34「四月になれば彼女は」川村元気

今日、読みました。
結構分厚い本なんですが、一気に読んでしまいました。
そのくらい、この物語に夢中になりました。惹き込まれました。

今日は、記憶が新しいうちに、この物語の魅力を語りたいと思います。
できるだけ、短く簡潔に書きます。
でも、面白かったので、長くなるかもです…ご了承ください。笑


作品について。

あらすじ。

4月、はじめて付き合った彼女から手紙が届いた。
そのとき僕は結婚を決めていた。愛しているのかわからない人と――。

天空の鏡・ウユニ塩湖にある塩のホテルで書かれたそれには、
恋の瑞々しいはじまりとともに、
二人が付き合っていた頃の記憶が綴られていた。
ある事件をきっかけに別れてしまった彼女は、
なぜ今になって手紙を書いてきたのか。
時を同じくして、1年後に結婚をひかえている婚約者、彼女の妹、
職場の同僚の恋模様にも、劇的な変化がおとずれる。
愛している、愛されている。そのことを確認したいと切実に願う。
けれどなぜ、恋も愛も、やがては過ぎ去っていってしまうのか――。
失った恋に翻弄される12カ月がはじまる。

あのときのわたしには、自分よりも大切な人がいた。
それが、永遠に続くものだと信じていた。

ご本人(川村元気さん)からのメッセージ。

恋愛小説を書こうと思ったら、
周りの人が誰も熱烈な恋愛をしていませんでした。
独身の男女は好きになる相手がいないと嘆き、
結婚した夫婦は愛が情に変わるもんだと説く。
でも誰もが、十代の頃の恋を瑞々しく語る。
あの頃の気持ちはいったいどこに消えたのか? 
恋愛を前にして、人間は悲しいくらい生身にされてしまう。
でも僕は、それこそが美しいと思いました。
だから「恋愛がなくなった世界」で、
それを求めてもがく男女の物語になった。
絶望の果てまで行った先に見えたかすかな“光”とともに
ラストシーンを書き終えた時、
問い続けていた答えのカケラが見えた気がしました。
読んだ人それぞれの恋愛に対する答えを、
小説を読んで、自分のなかに見つけて欲しいと思っています。

画像1

私が、この本を取ってしまった理由。
まずは、この表紙の美しさに心を奪われたこと。
そしてもう1つは、「帯」!!!帯を見てください!!出た!源さん!!笑

元々、本自体はとても興味があったのですが、
最新刊だとハード本でちょいとお高めだったので、
買わず終いだったんです。
でも、この前ブックオフにフラーっと行ったら、この本が!!!
しかも、帯付き!源さんのコメント付き!これは、買うしかない!!
ってことで、大事に抱えて、レジに並びました。笑


心に残った言葉。

P21 雨の匂いとか、街の熱気とか、悲しい音楽とか、嬉しそうな声とか、
誰かを好きな気持ちとか、そういうものを撮りたい。
写らないものだけど、でも確かにそこにあるものです。
カメラを持って歩いているのは、写らないものだけれど、
美しいと思えるものに出会いたいからなんです。
その時、ここに私がいて、
感じていた何かを残すためにシャッターを切ります。
P192 神経衰弱みたいなものだと思うんです。
一緒に時間を過ごしながら、伏せられているカードを一枚一枚めくって、
自分を同じ部分を見つけていく。
美しいところにせよ、弱いところにせよ、
そうやって、少しずつ誰かを好きになっていくのかなって。
P229 生きているという実感は、
死に近づくことによってハッキリとしてくる。
この絶対的な矛盾が日常の中でカタチになったのが恋の正体だと僕は思う。人間は恋愛感情の中での束の間、今、生きていると感じることができる。
P268 生きている限り、愛は離れていく。避け難く、その時は訪れる。
けれども、その愛の瞬間が、今ある生に輪郭を与えてくれる。
分かり合えない2人が一緒にいる。その手を握り、抱きしめようとする。
失ったものを取り戻すことはできない。
けれども、まだ2人の間に残っていると信じることができるもの、
そのカケラを一つ一つ拾い集める。
漠然と続く日常の中で、愛を繋いで生きていく。


読み終わって。

とても美しかった。
とにかく、綴られている言葉が美しくて、情景描写はまるで、映画。
読んでいて、その映像が頭の中で描けるくらい、リアルでした。
日本じゃない、どこか異国の情景が浮かんで、
物語の中の綺麗な景色を、実際に見てみたいと思いました。

最初から最後までずっと、
この表紙の色のように淡い水色というかグレーというか、
どこまでも儚い感じがして、
ジャケ買いをする私は、そこにもグッと心を奪われましたね。

一見、恋愛ものかと思いきや、いや恋愛ものなんでしょうが、
そういう類を通り越して、とても静かな、もっともっと深い、
「人間」そのものの内面ストーリーが描かれていたと思います。
人間関係の心情や、また1人が自分だけで葛藤する気持ちの変化、
波音が立たないほど静かに、そして細やかに、永遠と淡々としていて、
恋愛の熱って、もっと燃えるものだと思っていましたが、
この物語からは、そういう熱いものは感じなかったけど、
一人一人の、静かな心の動きを感じられる、そういう物語でした。

でも、読んでいて、
好きとは何か、結婚とは何か、本当の意味が分からなくなりましたね。
(元々分からないのに、もっと分からなくなった。笑)
なぜその人が好きなのか?なぜ結婚するのか?答えなんてあるのか?
はい、答えの出ない永遠ループ突入しました。笑

失ってから気付くことって生きていたらきっと多々あって、
でもそれじゃ、遅いことって沢山あります。
ハルちゃんが藤代に手紙を書いた理由、なんとなく分かった。
自分だけの、素敵な思い出の中の、「自分」にもう一度会いたい。
それは、少しだけ分かる気がしました。

いやー、川村さんの小説が大好きです。
「この世界から猫が消えたなら」というものを初めて読みましたが、
「四月になれば彼女は」を読んで、
さらにさらに、川村さんの世界観に、夢中になりました。

他の作品も、沢山読みたいと思います。
これまた、好きな作家さんが増えましたね。本って、尊い。


おりょう☺︎



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?