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不思議な「口紅」で狂気に包まれる、1人=2役、2人=1役の女優の物語。

2021/3/7 映画記録no.28「累 ーかさねー」

今日は、この映画を見ました。
芳根京子ちゃんが好きだからずっと見てみたくて、
念願叶って、Amazonprimeで見ました。アマプラ、ありがとう。笑

作品自体を気になっていたから、
ある程度ストーリーは知っているつもりでしたが、
女優2人の演技が圧倒的にすごくて、見入ってしまいました。

今日は、こちらの作品をまとめていきます。


作品について。

「累」は、もともと漫画が原作だそうです。
私は全く漫画を読まないので、初見が映画で、その後漫画が原作だった、
ということがたくさんあります。
漫画よりも、小説の方が好きなんだよな。

というのは置いておいて、この作品についてまとめます。

漫画の原作者は、松浦だるまさんという方。
2013年から2018年まで講談社の漫画で連載されていたそう。

累計発行部数は12巻の時点で200万部を突破。
2015年には第39回講談社漫画賞の一般部門にノミネートされたほか、
全国書店員が選んだおすすめコミック2015で9位、
次にくるマンガ大賞2015「これから売れて欲しいマンガ」部門で10位、
マンガ大賞2015で10位に入るなどの評価を受けている。

映画は、2018年9月に公開。
土屋太鳳さんと芳根京子さんのダブル主演です。
第18回ヌーシャテル国際ファンタスティック映画祭で「観客賞」を受賞。

キャスト
丹沢ニナ - 土屋太鳳
淵累 - 芳根京子
烏合零太 - 横山裕
淵峰世 - 筒井真理子 
丹沢紡美 - 生田智子
富士原佳雄 - 村井國夫
淵透世 - 檀れい
羽生田釿互 - 浅野忠信

あらすじ。

幼い頃より自分の醜い容姿に劣等感を抱いてきた女・累(かさね)。
今は亡き伝説の女優・淵透世を母に持ち、
母親譲りの天才的な演技力を持ちながらも、
母とは似ても似つかない容姿に周囲からも孤立して生きてきた。
そんな彼女に母が唯一遺した1本の口紅。
それは、キスした相手の〈顔〉を奪い取ることができる
不思議な力を秘めていた。ある日、累の前に、
母を知る1人の男・元舞台演出家の羽生田(はぶた)が現れる。
累は羽生田の紹介で、圧倒的な”美”を持つ女・ニナと出会う。
ニナはその美しい容姿に恵まれながらも、ある秘密を抱え、
舞台女優として花開かずにいた。お互いの欲望が一致した2人は、
口紅の力を使って顔を入れ替える決断をする。
累の”演技力”とニナの”美しさ”。
どちらも兼ね備えた”完璧な女優”丹沢ニナは、
一躍脚光を浴び始め、2人の欲求は満たされていくが…


印象的なセリフ。

観客が1番感動するのは、ニセモノがホンモノを超えてしまう瞬間だ。

ニセモノとホンモノ。
その2つが交互していく、この作品の世界。
演劇という舞台で、自分じゃない人間を演じる、という世界。

舞台の上になんて立ったことないけど、
きっとこれが全てなんだろうな、って思ってしまう、熱いセリフ。

きっと気づかない。見えるものが全てだ。

心は累でいても、見えているのは「ニナ」で、
周りは「ニナ」として接していて、周りは絶対気づかない。
でも、その中にも”違和感”を感じる人はいて、
そのハラハラな展開が、ちょっと苦しくなりました。

他人の人生を乗っ取って、光のもとに立っていた。

ネタバレになってしまうので、あまり詳しく言えませんが、
自分じゃない人間も、同じ選択をして、他の人の人生を生きていて、
これが分かった瞬間、これまでの伏線がブワーって解けました。


作品を見終えて。

土屋太鳳ちゃんは、
青春もので、制服を着て、儚い可愛い女の子のイメージがあったのですが、この作品では、今までに見たことのない太鳳ちゃんがそこにいて。

特に好きなシーンは、最後の「サロメ」という舞台で見せたダンスシーン。

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この赤い衣装を身にまとい、
妖美に舞うニナ(心は累)がすごく美してくて、とても怖くて、
このシーンが1番好きです。
あと、隙間から見せる、眼差しの強さ。
奇妙で、恐怖を感じさせる、その演技は、本当に圧巻でした。

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さらに、芳根京子ちゃんは相変わらず、素晴らしくて。
石原さとみさん主演のドラマ「高嶺の花」では
妹役として出演されていましたが、
その時に狂気じみた演技に釘付けになり、
一気に彼女のファンになりました。
今回も、難しい役柄ではあったものの、
心に大きな闇を抱える女の子を演じられていて、鳥肌が立ちました。

芳根京子ちゃんの目って、真っ黒なんです。
光がないというか、光を移さないというか、説明が難しいですが。

わかるかな、こんな感じ。私は、この目がたまらなく好きなんです。

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演じている人間は1人でも、
入れ替わった時の表情や、役作りが全く違って、
目の色まで変わっているような気がして、
本当に、役が憑依しているような、そんな怖さを覚えました。

「丹沢ニナ」という女優の人生を、ニナと累で作りあげて、
でも、ニナは自分が自分で無くなるのが怖くなって、
でも、累は美しい容姿を手にいれて、ニナの人生を奪っていって。

作品は、めちゃめちゃ良いところで終わって、
というか、めちゃめちゃ気持ち悪いところで終わっているとも言えますが、
その後の展開が気になる、終わり方なんです。
綺麗な終わり方と言えば、そうなんだけど、
でも、私はちょっと気持ち悪いというか、
心に何か小骨が引っかかっているような、そんな感覚になりました。


心の裏側というか、
これまで照らされてこなかった部分を、
この作品は照らしてくれているような、そんな作品だな、と思います。

とにかく、土屋太鳳ちゃんと芳根京子ちゃんの、
狂気じみた、怖すぎる、その演技に圧倒されるはずです。

これは、見たことない方はぜひ見て欲しい。
芸能界にも、きっとこういう人っているんだろうな、憑依型というか。
だとしたら、やっぱり演じるってすごいな。


おりょう☺︎

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