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「いっぱい未来の話をしよう」

2020/8/15 芸能記録no.2「太陽の子」

本日、8月15日は終戦記念日です。
日本にとって、絶対に忘れてはならないそんな日に、
「太陽の子」(NHK)が放送されました。

戦争真っ只中、原爆開発に関わった科学者の葛藤と苦悩を描いた特集ドラマです。
そして、そんな悲惨な状況で翻弄する若者たちにスポットが当てられています。

ドラマを見た後、色々なことを考えすぎて、
投稿するのがこんな夜遅い時間になってしまいました。

大切に、今の気持ちを、残します。


構想に10年、その想い。

7月8日に広島放送局で行われた完成試写会の記者会見で、
脚本と演出を担当した黒崎博さんは、
「この物語は10年前、仕事で訪れた広島の図書館の片隅から始まった」と、
このドラマが始まるきっかけを明かしました。

図書館の片隅には、広島県史という資料集があって、
その中に、若い科学者の日記の残片があったそうです。
日記の持ち主は、当時京都大学で原子物理学を専攻していた若い研究者でした。
そこから黒崎さんは、戦争当時、京都大学で原爆の開発・研究が行われており、さらにその開発には若者も関わっていたことを知って、
「この若者たちの物語を形にしたい」と思い、ドラマの構想を考え始めたそうです。

10年前のその瞬間から、2020年の夏まで。
この長い長い期間、練り続けた黒崎さん。
それだけで、熱い想いが痛いくらい手に取るように伝わってきます。

その想いを知った上で、このドラマを見たので、
また深いところまで汲み取ることができた気がしました。


ドラマを見て。

泣きました。号泣しました。目が腫れそうなくらい。

そして、先月亡くなった三浦春馬さんの演技が素晴らしすぎて、
いろんなものとリンクしてしまって。
二重の意味で、本当に涙が止まらない、そんなドラマでした。

主人公・柳楽優弥さん、その弟である三浦春馬さん、
そして2人の幼馴染である有村架純さん。
3人が手を取り合って、話し合うシーン。

「いっぱい未来の話をしよう」

そう話す3人の姿があまりにも残酷で、でもすごく強くて、
胸がギュッと苦しくなりました。


戦争真っ只中、お国のために命を捧げることが良しとされてきた世の中。
たった75年前、私たちがいる、この日本での出来事です。
そんな惨すぎる時代が日本にもあったんです。

「行かないで」と思っていても、
「いってらっしゃい」と言わなくてはいけない。
「行きたくない」と思っていても、
「行ってきます」と言わなくてはいけない。

本当の気持ちを、本当の思いを、言葉にしてはいけない。
隠し通さないといけない、そんな時代。

その揺れ動く葛藤が、
俳優陣のセリフ、行動、表情一つ一つに込められていました。
見ていて、苦しくなる箇所もありました。
でも、この現実から目を逸らしてはいけないと思い、最後まで見続けました。

全てのシーンが心に残っていますが、
もっともグサッと刺さったのは、終わり方です。

「日本はどうなっていますか? 平和ですか? しあわせですか?」

今の日本は、果たして平和と言えるのか。
その日本で生きている私たちは、
大きな声で「しあわせ」だと胸を張れるのだろうか。

考えても考えても、「はい」という、たった一言の返事ができない。
自分の中に、言葉にできない何か黒いものがある気がしました。

いつか、この問いかけに頷くことができるのでしょうか。


映画「太陽の子」公式Twitterにて。

先ほど、Twitterを見ていたら出てきました。
「黒崎監督より今コメントが届きました。ご紹介させていただきます。」という投稿に添えて、写真が付いていました。

「太陽の子」テレビ版をご覧いただきありがとうございました。
「真理への憧れ」と「狂気」を秘めた科学者、という難しい役を演じきってくれた柳楽さんに改めて敬意を表します。そして人生を生き抜く人々を
それぞれに演じてくれた俳優陣を誇りに思います。
春馬くん、生きるエネルギーに溢れた芝居を見せてくれてありがとう。
あなたを撮ることができて幸せです。監督・脚本 黒崎博

最後の、「あなたを撮ることができて幸せです。」という文章。

過去形ではなく、現在進行形でコメントを締めたところに、
黒崎監督の強い優しさを感じました。


広島の記者会見にて。

この会見で主人公の弟を演じた三浦春馬さんは、
「今、僕たちはいろんなことで、人生を諦めたいと思う瞬間もある。
けど、その空しく生きた一日が、当時あれほど生きたいと思っていた一日。一日は変わらないじゃないですか。そんなことを胸に、生きていきたい」と語っているんです。

会見が行われたのは、7月8日。
そして、そのたった10日後、彼は自分で”死”を選んでしまった。

彼の本当の気持ちは、彼にしか分かりません。
ましてや外から視聴者として見続けていた私は、
何も知らないし、分かるわけないし、
最後まで本当のことはきっと明らかになりません。

でも、それでも今日ドラマで見た彼の眼差しは確かなものだし、
この会見の言葉が、本音であることを信じたいと思います。

本当に、素晴らしい役者さんです。


今日、この日に放送された意味とは。

このドラマが放送された今日、8月15日は誰もが知っている通り、
日本の戦争が終結した終戦記念日です。
日本人である限り、忘れてはならない大切な日です。
そして、亡くなった方がこの世界に降りてきて、
生きている人と亡くなった人が再会できる、お盆でもあります。

そんな日に、このドラマが放送された意味を、
もう一度よく考えなければいけない、そう強く思いました。


再放送が、8月19日夜23時40分からも放送されるみたいなので、
見逃した方はぜひ。

苦しいけど、全てこの日本で起きたことです。
もう二度とそんな世の中にならないように、
もう二度とそんな世の中にさせないために、
私たちは、このドラマを見て、今一度よく考えるべきだと思います。


おりょう☺︎

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