小樽、赤岩の白龍胎内巡り
先日から札幌の実家に帰省している。実家が引っ越していたので少し新鮮である。街の変わりゆく様を眺め感慨に浸ったりしている。
今日は小樽に行った。昼に寿司を食う―――小樽で寿司を食うのは、帰省する度にやっている習慣である。よく行くのはとっぴーという店で、まあ、アホほど美味い。
クジラは好きだし、炙りえんがわや大トロは口の中で溶け、溢れるイクラは他のネタと合わせて食うと旨い。スシだ。スシを食べている。スシを補給している。さては手負いか!
ニンジャ回復力を最大限に引き出したところで、さて登山の始まりである。本日訪れたのは、小樽、赤岩山の白龍胎内巡り。海沿いの獣道を上がったり下がったりして向かう岩場の小さい洞窟で、仏像の並ぶ昔の修験道の修行地である。神社とも寺とも言い難い。中々険しいので、もし行くならそれなりの体力や準備を要する。場合によっては運、勇気も。
登り始めて10分と少々、標識と鳥居があるのが分岐点である。ここで、鳥居をくぐって森の中に進んでゆく。
鳥居には「赤岩白龍本院」とある。
ここからの道は注意を要する。道の幅が狭く、傾き、そして湿った土がよく滑る。
そのまま進んでゆくと、岩場に出る。
左側(大黒岩)にぶら下がるロープを使って真っ直ぐ登ればロッククライミング、奥の方に行けば登山? である(右側の岩は不動岩というらしい)。そっちの道ではそれなりに有名らしいが、私はクライミングが目的なわけではないので奥に進む。手袋とか持ってこなかったしなあ(これは後で少し後悔した)。
ロープを頼りに、砂利というかレキの斜面を登り、ふと振り返ると聳え立つ岩塔(大黒岩)が暮れ始めの陽を浴びている。
もっと登って今一度振り返ると、今度は海面が見える。おお、なんと透き通ったシャコタンブルー!
そして次は1つ目の洞が出現する。様々な仏像が並び、如何にもな修行スポットである。時間が許せば、或いは1人で来ていれば瞑想なんかやってみたかった。写真は撮り損ねたが、洞窟入口付近の壁面には奇妙な文字が彫られていた。
ここの洞は奥にすぐ抜けて開口しており、下を覗くとやはりこの景色である。
洞内左側は不動明王を、真ん中では大日如来を、そして右側では龍神を祀っている。曰く、明治初期に修験僧が洞窟で修行する中、天に昇る白龍を見た事に由来するスポットであるらしい。以降随所で龍神の像が見られる。下に並ぶ、とぐろを巻いた2匹の小さな龍は、向かって右側が金の巻物を咥える意匠になっている。阿形・吽形を表すようだ。他ではあまり見ない。わりと珍しいものかね。
さて、また登ってゆく。今度はハシゴが繋がっているので随分進みやすい。
サイズ感としてはこんな感じである(私の後ろ姿が写っている)。撮影は私の母親による。もういい歳だが、昔はド田舎で山を駆け回っていたらしく終始余裕の表情の母であった。
右側にはまた洞(というか窪み)があり、中心には幣帛に巻きつく蛇(龍)の石。これも、私が寡聞な為か他では見た事がなかった。
ここで一層興味深いのは、上の龍神像の横側に扉が立て付けられている事であった。奥は暗いが浅い。
何だこれ?
わざわざ扉まで付けるぐらいだがこの山でも重要な龍神像なのだろうが、どこがどうなっているのかよくわからない。画像はややブレていて申し訳ないが、直接見てもよくわからなかった。どれが顔だ?
周囲にも様々な龍の像があった。何れもバラバラで個性的な形状である。
ハシゴの最終地点は洞窟の中に入り込むような構造になっている。
これもまた面白く、横側から入った洞窟は真上に抜けていくのだ。
そうして上がると、稲荷や布袋が集まる。
2つの岸壁から空と海が覗いている。
そして左側の岩に繋がる道を進むと、おおっ?
なんと綺麗に地層が表れている事か! 下の写真などは、随分グネグネとしていて面白い。
そして石仏である。いやあ、凄いスポットじゃあないか。
上はもう2〜3mで岩の頂上になる。
最後にして最大の難所である。足場の幅は一足分しかなく、ロープが1本のみとよくわからない錆びた鉄線の束、あとは岩に直接掴まるしかない。落ちれば勿論命は無い。
岩に張り付きながら進む。先端には仏像があるが、そちらはまあ行かんでもいいかという事にした。その代わり上に登ったのだ。
振り返って上を見るとこちらにも石仏があるが、最早ロープすらなく、鉄線の束と岩のみで、殆ど完全にフリークライミングである。
登りきった。不動明王の足元には件のよくわからない錆びた鉄線がやたらと巻きついている。これに合掌し、今回の冒険は完了だ。
帰り道はずっと早いが、時折道が不明瞭になったりはするので最後まで油断はできない。
いやー、疲れた。先日やったゴーストオブツシマにはこんな感じのスポットがかなり多かったが、それを思い出すような、険しく秘境的な山であった。似たような場所としては北海道には他にせたな町の太田山神社もあり、あちらは日本一危険な神社として知られている。神社か否かをさておけば(どちらも元は修験道)こちらの方が間違いなく危険だったが、太田山の方が距離が長く疲れる。そちらについては、私が大学1〜2年の頃に書いていた神社巡りブログに軽く載っているので、気が向いたら参照してみてほしい(他の記事は、まあ読まなくてもいいぞ)。
然らば。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?