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建設テックで読んでおきたい良書5選

こんにちわ。株式会社フォトラクションの代表をしている中島です。

フォトラクションは「建設の世界を限りなくスマートにする」をミッションに『Photoruction(フォトラクション)』という建設業向けのクラウドサービスと、産業特化の人工知能エンジン『aoz cloud(アオズクラウド)』を提供しています。

Photoructionは写真や図面、工程など建物を建てるのに発生するデータを効率よく管理し、建設生産のプロセスを最適化するサービスで、aoz cloudはPhotoructionに蓄積したデータを活用して、様々な業務の自動化や、これまでわからなかった事の可視化などを、ディープラーニングを中心とした人工知能の技術を使って実現するサービスとなっています。

事業の詳細は会社のURLを見て頂くか、ご興味ある方はTwitterのDMで私宛に直接お問い合わせください!

私は今の事業はもちろんですが、大学時代の卒業研究が建設とITに関することでした。
(正確には3次元CADを活用して建物が法律に適合しているかどうかをボタン一つで判定する研究)

起業する前は大手ゼネコンのIT系部署にいて、テクノロジーを駆使してどのように工事現場の生産性や利益率を上げるかといった仕事をしていました。

また、小学生の時からプログラミングが好きで、コードも少しは書けるということで、市場的に見ても他の人とは違った経験をして来てるのではないかなと思い、お世話になった建設業や関連する人たちに何か恩返しが出来ればということでnoteを書こうかなと思った次第です。

このnoteでは建設Techや建設産業に関わっている人や、興味ある方に少しだけ役に立つかもしれない情報、および私自身の考えやノウハウなどを書いていければ思っています。

あまりこういった文書を書くのが得意な方ではないため、ぜひ暖かい目で見守って頂けると嬉しいです。

というわけで、最初に何を書くか悩みましたが、とっつきやすいと言うことで過去に読んだことのある本を紹介しようかなと。

建設関連の書籍は学生時代からたくさん読んできましたが、その中でもとくに建設Tech関連でオススメの5冊を厳選して紹介します。

私が起業をする上で、もしくは事業を進めていくにあたって少なからず影響を受けた本となります。(もちろんこの5冊以外にもたくさんあるんですが。。。)

ちなみに建設業界の人でも知らない本ばかりだと思うので、マニアックかもしれませんが是非手にとって読んでみてください!

1. 次世代建設産業戦略2025

「ストック時代の到来」「人口減少」「グローバル化」という3つの視点から建設産業がどのように変化していくのか、もしくは変化して行かなければいけないのかを解説した1冊です。

2014年発刊ですが、2000年代で最新情報を取り入れた上で産業をマクロに解説している本があまりなく、そういった意味でも貴重なレポートとなっています。

面白いのはビジネスとテクノロジー両面での考察が多く、特に以下の一文は起業するに当たって非常に後押しされました。

(建設業の)周辺分野に新たな成長企業が多く生まれ、建設技術者がその方に流れるという傾向がある。ただ、そうした企業には施設を直接つくらないソフト中心の機能提供型の業態が多く、現状ではまだ規模はあまり大きくない。しかし、将来的にそうした企業のなかから建設産業の中核となる新たな企業が成長していく可能性が大きいといえる

出版委員の中に学生時代お世話になった方がいると言う理由で読んでみた本ですが、今でも1年に1度は読み返しているほど影響を受けた本です。

ある程度、建設産業がどういったものかを知った上で、今後どうなっていくのかを俯瞰的にみるには非常にオススメの1冊です。

2. ユビキタスは建築をどう変えるか

一般的にはあまり知られてないですが、日本が世界に誇るOS(オペレーティングシステム:Windowsみたいなコンピュータを動かす基本ソフト)があるのはご存知でしょうか。

トロンと呼ばれるOSは家電や自動車、携帯電話(ガラケー)などリアルタイムアーキテクチャーのOSとして世界何十億台の製品を支えています。

この本はトロンの生みの親でもある、坂村先生(東大名誉教授)が建築にフォーカスして、どのように建築および建設産業が変わっていくかを考察した本となっています。

ちなみに坂村先生は電脳住宅という、今でいうスマートホームそのものを1980年代に実証実験していたり、IoTという言葉が生まれる遥か前から似たようなことをやられているすごいお方。

この本自体は2007年に発行されたものですが、当時もあまり建築の本でワクワクできるものがなかった私にとって非常に刺激的な内容でした。

テクノロジーによる建築そのものの変化から、設計手法、生産の過程がどのように変わるのか。設備やネットワークの変化によりそこで過ごす人々、産業で働く人の変化まで、多岐に渡った内容が記されていて読み物としても非常に面白い一冊です。

3. ビジネスモデル「建築市場」研究

鹿児島で行われた「建築市場」というプロジェクトを詳しく解説した一冊。

「建築市場」とは、住宅の設計から見積、資材調達、工程管理といった一連のロジスティクスをインターネットを使って、工務店、資材供給業者、プレカット工場、専門工事業者から施主まで含めたすべての関係者と情報をリアルタイムに共有することで、住宅建設のプロセスの合理化を進めようとしたプロジェクトです。

詳しい内容は本を見てもらうとして、スタートアップが建設×ITの市場でやろうとしていることは、大体ここでやってしまったのではないだろうかというぐらい盛り沢山のプロジェクトでした。(SaaS的なのはもちろん、マッチングからエスクローなどなど)

住宅だからこそ上手くいった部分もあるのと、色々と広げようとしすぎて鹿児島以外では広まらなかった(と聞いているが実態は不明)という歴史があり、これから建設関連のインターネットサービスを作ったり立ち上げようと思っている人には、学べるところが沢山詰まっているのではないかなと。

4. インクス流!

金型設計の業界に革命を起こした、かつてのメガベンチャー「インクス」の事業がどのようにして作られたのかを順序立てて解説している1冊です。

インクスは職人技で行っていた金型設計を、3次元CADなどのテクノロジーをフル活用し、不可能と言われていた生産プロセスの大半をオートメンション化に成功。

今まで1ヶ月かかるところを、なんと1日に短縮したすごい会社です。

建設と関係ないように見えるものの、「要件定義→基本設計→詳細設計→生産(職人技)」という生産プロセスが似ていることで、一時期は建設業界からも注目を集めていた企業です。

この本は事業にも影響を受けていて、特にインクスの社員が、職人の横にべったり張り付き「なぜその判断をしたのか」「なぜここをこの強さで彫ったのか」など、事細かく全ての動作や思考を明確化してプログラミンに落とし込む様子が描かれている所は非常に感銘をうけました。

業務用ソフトというのは一見プロセスが複雑ですが、細かく見える化を繰り返すことで、ルールベースに落とし込むことは可能で、つきつめれば職人技ですらテクノロジーで代替できる(個人的に機械へ技術継承される現象と理解してます)ということを学んだ一冊です。

5. 建設業の明日を拓く 建設プラットフォーム/新しい生態系の生成

今や数多ある建設マッチングサービスの走りともいえる『建サク』の取り組みをメインに、建設業がどのような新しい取り組みをしているのかをまとめた1冊です。

10年以上前の本ではあるため情報自体はかなり古いのですが、テクノロジーやインターネットサービスをどのように現場に取り入れていくのか、それに対して業界はどのように考えているのかなど、マインド部分が非常に参考になります。

文面はレポート形式で淡々と進むのですが、具体的な建設会社の事例として、便利だったり革新的だったりサービスが良いだけでは決してスムーズに普及しない様子が伝わってきます。

良いプロダクトを作るのは最低限であり、業界に寄り添った営業だったりカスタマーサクセスというものを、きちんと想いを持った上で提供できないと絶対に上手くいかないなと強く確信した一冊です。

個人的には、本の中で大きくクローズアップされている砂子組さんと、まさか協業することになるとは思わず、読み返していて感慨深いものがありました。

ということで、今回は建設Techに興味がある人であれば間違いなくオススメできる本を5冊だけ厳選してまとめてみました。

最近ではたくさんのスタートアップも出てきて、盛り上がっている産業ですが、実は昔からたくさんの会社やサービスがあるため、その成功や失敗から学べることが数多くあるのではないかなと思っております。

ここにある本を読んでみて建設×ITの分野で働いてみたいと思った方は、ぜひお話し聞きに来てもらえたら嬉しいです!


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