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一般社団法人建設テック協会の設立について

こんにちは。フォトラクションCEOの中島です。

前回のnote更新から4ヶ月も経ってしまいました....。書きたいネタは山程あるのですが、なかなか書く時間が取れず申し訳ないです。

今回は私が「一般社団法人建設テック協会」(https://construction-tech.org/)の代表理事に就任させていただいたこともあり、背景について簡単に書いていきたいと思います。
(Photoructionのプレスリリース)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000033069.html

スタートアップが業界団体に携わると、PRや営業目的って思われがちですが(もちろんそれもゼロではないですが)しっかりとした想いを持って取り組んでいるコトでもあるので、ぜひ皆様に知っていただきたいです。

特に建設業で働く方、建築・土木系の学生、建設テックに携わる方に読んでもらえたらと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください!

建設テック協会ってなに?

協会の前にそもそも建設テックって何?って方もいるかもしれませんのでその説明から。

建設テックとは建設 × テクノロジーの造語で、主に建設業および関連企業で使われる情報技術や付随する革新的な動きのことを示しています。(要するに建設業で使われるICTツールや技術のことです)

海外では建設テックサービスを提供するスタートアップ企業が急増しており、未上場で時価総額1,000億円越えの企業が複数誕生したりと、IT産業として見ても非常に盛り上がりを見せてます。

私も過去に建設テックについてnoteを書いてますので、ぜひこちらも合わせてご覧ください。

では、改めて今回発表した建設テック協会とは何かという点ですが、一言で言うと建設テックを盛り上げるための業界団体です。

「テクノロジーによる建設産業の更なる発展を目指したエコシステムを創出する」というミッションを掲げ、新しいテクノロジーの調査や環境整備を通じて、建設産業を持続的に発展させるための社会基盤を実装していきます。

活動内容はマルチステークホルダー(国・事業者・消費者・有識者など多種多様な関係者)でのコミュニケーションが取れる活動を中心に行っていきます。

具体的には「建設テックゼミ」「テーマ別WG」「産業への情報発信」のような活動が決まっており、それぞれがミッションにも掲げているエコシステムの創出の役割を担っています。
※WG・・・ワーキンググループ

活動イメージ


なぜ業界団体をつくるに至ったか。経緯と想い。

ではなぜ業界団体をつくるに至ったのか。

冒頭に書きましたが、自分で建設テック企業の経営もしているしPRや営業が主目的.......と思う方もいると思うので、しっかり否定をしつつ設立に至った経緯や想いを書けたらと思います。

まずは設立の経緯ですが、これは2017年まで遡ります。フォトラクションは当時から建設業向けのクラウドサービスの提供をしていましたが、その中で蓄積したデータを上手く有効活用できないかと考えていました。

そこで、当時注目を集めていた深層学習に目をつけました。蓄積したデータをAIに学習させることにより様々な作業を自動化できないかなと考えたのです。

一方で、当時はAIのスキルや知見は自分自身にもチームにもなく、さらには建設業界向けのサービスでどのように使えるかも全くわかっていない状況でした。もちろん現在は建設×AIで多数の実績があります。

そのため、まずは建設業界でどのような使い方ができるのか、というのを模索するために学生達と一緒にブレストをしながら、何ができるかというのを考える会を作ろうと思い立ちました。

最初は母校である芝浦工業大学の研究室と実施していたのですが、そこに1校また1校と加わり最終的には3つの研究室と一緒に、建設AIスクールとして一緒に研究を進めていくという取り組みになりました。これが建設テック協会の前身となる活動となります。

建設AIスクールは3年ほど開催し、コロナ禍でもオンラインで開催することで、建設とAIに関する論文が数多く生まれました。

建築学生はあんまり他大学と交流する機会はもちろん、他大学の先生から意見をもらうことも殆どないため、大変貴重な機会となったのではないかなと思っています。

そういった景色を見ているうち、私の中でもともと思っていた課題感を建設AIスクールを改良して、マルチステークホルダーが参加する非営利の団体を作ることで解決できるのではと思うようになりました。その課題は大きく分けると以下の3つです。

  1. 産業にテクノロジー精通した人を増やす仕組みがない。

  2. 新しいことを始めるにあたり意見を気軽に聞ける場所がない

  3. 利害関係ない状態で各ステークホルダーで真剣な議論をできる場がない

テクノロジーの発展に伴い、既存産業とテクノロジーの境界線はなくなってきている状態である中で、上記の課題はどれも解決することに意義がある内容だと考えていました。そして解決するためには良いコミュニティを作ることが必要とも思っていました。

建設AIスクールでは建設×AIに関する論文が多数生まれましたし、私も事業に対するヒントをたくさんもらえたのですが、まさに良いコミュニティがこの結果を産んだと考えています。

コミュニティであれば既存の業界団体も沢山あるじゃなないか、というご意見もあると思いますが、建設産業における既存団体は標準ルールを決めたり全体の標準化をしたりと、何らかの成果物が求められるのが主です。

もちろん必要なことではあるのですが、テクノロジーという時代の流れが早いものと、建設産業という既存の状態を保つ力が強くなりがちなものを掛け合わせた時に、上記の課題を解決できるようなコミュニティを作るのはなかなか難しいと、いくつかの業界団体の参加を経験して感じたことです。

念の為ですが、既存の業界団体とは目的が異なるだけであって、取り組みは素晴らしいものがあります。私も現在参加させていただいてる団体には引き続きしっかり貢献していけたらと思っております。

成果物に囚われることなくマルチステークホルダーでコミュニケーションを取る場が、建設AIスクールで実現できていると感じ、それであればより対象範囲を広げていこうと思い立って形になったのが今回設立した一般社団法人建設テック協会です。

建設テック協会は上記のような想いもあり、通常の業界団体と異なりグッと色々な面でハードルを下げて進めていけたらと考えています。

参加したい人が参加する。話したい人が話す。研究したい人が研究する。そんな見方によっては緩いとも取れるコミュニティを保つことで、協会が掲げる「テクノロジーによる建設産業の更なる発展を目指したエコシステムを創出する」というミッションを実現していきます。

今後の展開について

というわけで、建設テック協会は2022年4月より活動を始めています。

営利目的の団体ではないですし、急成長も求めているわけではないため、まずは適切なコミュニティを作っていくことに集中していきたいと思います。
具体的な内容としては冒頭に書いた通り、3つの活動を進めています。

活動内容

建設テックゼミに関しては前進となるAIスクールを3年ほどやってきたこともあり、そのままの流れを組んで、学生達に建設テックを楽しく知ってもらいつつ研究に活かしてもらいます。

テーマ別WGは「カーボンニュートラルWG」「ブロックチェーン活用基盤WG」「安全人工知能WG」のような先進的かつテクノロジーが活きそうなテーマを設定し、それぞれ会員が興味がある分野に入ってもらいコミュニケーションを取れるように整備していきます。

繰り返しですが、すぐに形に見える成果を目指すのではなく、コミュニケーションの中から間接的にでも新しいことが生み出され、建設テックのエコシステムに貢献できたらなと思っております。

手伝ってもいいよ!だったり、一緒に建設産業の良い未来に貢献したいという方、ご興味ある方はぜひ問い合わせいただけたら幸いです。
(会員に関して一般公募してないこともあり、ご期待に添えない場合もありますが。。。)

ちなみに、フォトラクションの方も継続して仲間を募集しています。こちらも是非お気軽にお問い合わせください。

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