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「菅総理から学ぶリーダーシップ」

今回のテーマは、「菅総理から学ぶリーダーシップ」です。

毎日のようにメディアから批判的な目で見られている菅総理。
支持率も28%(NHK調べ)と大きく落ち込んでいます。

今回は、その菅総理の行動から見えてきたリーダーシップについて考えてみたいと思います。

リーダーシップに関する本は、たくさん世の中に出回っています。
それだけ、リーダーシップに関する定義が統一されている訳ではないことが分かります。

リーダーシップって何?っていざ聞かれたら、意外と答えられなかったりします。

「うーん・・・人を率いていくことかな!?」と答えたりする人もいる。

ちなみに陸上自衛隊では、リーダーシップは、「統率」と呼ばれています。

実は、リーダーシップに関する定義もなければ、正解もありません。
だから多くのマネージャーは悩み苦しむのです。

ただ、菅総理の今回のコロナに関する一連の行動を見ていると、リーダーシップに必要なものが見えてきた気がします。

今回、マネジメントに関して有名なドラッカーについても、リーダーシップに関する記述があるのではないかと、改めて、ドラッカーの本を読んでみました。

ドラッカーは、リーダーシップに関して、こう書いています。

リーダーシップの第1要件は、資質やカリスマ性でなく、仕事と見ることであり、第2の要件は、地位ではなく責任と見ることだと言っています。
ドラッカーは、リーダーシップの基礎を「組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に定義し、確立することである」としています。リーダーは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持するものである。もちろん妥協することもある、と言っています。

さて、私が菅総理の行動で気になった行動が3つあります。

1.用意した原稿をそのまま読む

広島平和記念式典での菅総理の演説は、原稿を読むだけでなく、大事な部分を読み落としたということで、ニュースでも大きく取り上げられました。

確かに、原稿に書いてあることは自分の言葉かもしれません(官僚や側近が準備していることの方が多いですが)。

しかし、準備された原稿はあったとしても、自分の言葉で語るということが、リーダーにとっては、とても大切だと思います。

それは、原稿を読むのと、原稿を読まず、自分の言葉で語るのとでは、大きな違いがあるからです。

どんな違いかといえば、「想いの入った言葉」かどうかです。

想いのある言葉は、人の心を打ち、人を動かす原動力になります。

一方、単に原稿を読んだだけでは、人の心は動くことはありません。

今回の菅総理の記者会見の言葉であなたは心を動かされたでしょうか。

2.尾身会長と二人で行った記者会見

菅総理は、官邸で記者会見を行うことがあり、これまでに何度か新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長と会見する姿がテレビで放映されました。

その様子を見て、「おやっ!?」と思った人も多かったと思います。

なぜ、総理は一人で会見しないのかと。

確かに、リーダーは、詳細な部分や専門的な所は、分からなかったりします。

総理ともなれば、なおさらです。
全てを詳細にまで把握することはできないと思います。

だからこそ、リーダーは、仕事を部下(総理でいえば、大臣)に仕事を任せているのです。

リーダーにとって、大切なことは、「最終責任は、俺が取るから、頑張れ!」と言うことではないかと思っています。

専門的なことを聞かれたら、答えられないと困るし、尾身会長に隣に居てもらって、わからない質問があったら、答えてもらおう、その方が安心だ。また、尾身会長がいれば、正確なことが答えられると思ったのかもしれませんが、正直、あの会見は、リーダーシップのなさを露見してしまう結果となったと私は見ています。

こんな話をすると、思い出すエピソードがあります。

以前、ある事務センターの立て直しに入ったことがあります。

そのセンターは、事務処理しなければならない案件が毎日4000件ほどある部署でした。

その部署で、事務処理が追いつかなくなり、ついに12000件の滞留が発生しました。

現場のSVは早出出勤、残業、休日出勤、50名ほどいるスタッフさんも早出出勤や残業で対応している部署した。

現場でやれることは最大限やっている、けど、滞留件数が毎日、雪だるま式に増えていく、そんな状況でした。

いわゆる負のスパイラルに陥った部署です。

そこに私と部下のT君が行くことになり、私が急遽、その現場の指揮を取ることになったのです。

私は、現場に常駐している3名の管理者からヒアリングし、管理者の稼働状況を確認すると共に、現場の観察を1日しておりました。マニュアルや業務フローなども確認して、その日が終わろうとしてました。

そこで、夕方、私がある決断をして、集めた管理者に言ったこと。

それは・・・・

寺下:「今日から、ここの現場の指揮を取ることになった、寺下です。これから滞留している案件があるので、早期に滞留を解消したいと思います。そこで、早速で申し訳ないけど、管理者は、明日から一人ずつ交代で全員休むようにしてください。管理者の早出出勤、残業もやらないように。スタッフさんにも早出出勤と残業は、明日からやらなくて良いと伝えてください。」

現場の管理者:「は!?寺下さん、何を言ってるんですか!?今、12000件も滞留しているんですよ!」

寺下:「いいから、いいから、12000件がちゃんとはければいいんでしょ。」

現場の管理者:「早出出勤や残業して、我々は、休日出勤までしています。それでも減らないんです。それなのに、早出出勤や残業をやらなくていいとは、どういうことでしょうか。そして、明日から一人ずつ休めとは。到底、理解できません(怒)。」

寺下:「皆さん、もう疲れてるから、1回休んだ方がいいんだよ。まずは、休日出勤されているので、その分を休んでください。そして、改善策と今後の計画を2日以内にまとめて、提案するからちょっとだけ時間くださいね。」

現場の管理者:「いいですけど。。。」

寺下:「いい?明日、朝、出勤時間より前に来ないでね!!!(笑)」

現場の管理者:「は、はい。。。」

そして、2日後。

寺下:「改善策と今後の計画を資料にまとめてきたから、良く見てくれる?」

現場の管理者:「ん?これは?」

寺下:「1ヶ月以内に今ある滞留案件を全て解消させます。そのために皆さんにやってもらうことは、大きく分けて3つです。一つは、残数やKPIなど数値を可視化し、貼り出すこと、一つは、スタッフさんに業務に集中してもらうこと。一つは、チェックを簡素化するなどフローの見直しです。詳細の内容としては・・・・・。」

詳細な説明後・・・

現場の管理者:「これで本当に12000件、なくなるんですよね?」

寺下:「なくなるから、安心して。その代わり、まじで、これ全力でやってね(笑)」

現場の管理者:「はい、なくなるのなら、頑張ります。でも、早出や残業はした方がいいのでは?あれでしたら、スタッフさんにも声かけますけど!」

寺下:「いや、これだけで十分。他のことはしなくていいよ。これで、12000件の滞留案件は、必ずなくすから。私が最終的な責任を取るので、これだけをやってくれればいい。いいね!?」

現場の管理者:「(渋々)分かりました」

結局、予定の1ヶ月もかからず、2週間ほどで滞留していた12000件の案件は、無事に処理することができ、元通りの安定した運営に戻りました。

ちなみに、管理者に休めと言って、休み明けで出勤してきた管理者は、久しぶりの休日で疲れが取れたのか、晴れ晴れした顔で出勤してきました(笑)

一人で決断するのは大変だけど、最終責任を取るのが、リーダーの一つの仕事ではないだろうか。

3.ゴールやビジョンを提示する

コロナ問題が発生して、1年8ヶ月が経とうとしていますが、まだ、出口が見えてきません。

最近のニュースでも、出口戦略が見えないと、菅総理はメディアでも大きく批判されています。

私は、リーダーシップに関する研修もよく依頼されるのですが、その中で伝えているのが、リーダーは、「方向性を示す」ことが大切だと教えています。

総理自身も出口は分からないと思います。

だって、コロナなんて、誰も経験したことのない非常事態だからです。

でも、出口が分からないから出口は示さなくてもよい、そうではないと思っています。

出口が分からないからこそ、リーダーは、出口を示さなければならないのです。

この絵を見てください。
荷車をリーダーが引っ張り、メンバーが後ろから押している絵です。

この絵から分かること、それは・・・・

リーダーは進む先が分かるし、自ら方向を決めることができるけど、メンバーは、目の前の荷物しか見えず、進む方向は分からないということです。

だからこそ、リーダーは、向かう方向はこっちだ!と自分で決断し、メンバーに言わなければならないのだと思います。

菅総理は、日本をどうしたいのか、そして、国民にゴール、いつまでに何をどういう状態にするのかを示さなければならないのです。

あなたは、リーダーシップを現場で発揮できているだろうか。

では、また。

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