見出し画像

細部が気になる人

かねてから、細部を気にしすぎるという自分の悪癖をなおしたい思っている。エンジニアではないが、僕は開発よりの仕事をしている。ものづくりの世界では、神は細部に宿る、的な格言がある。IT界でもユーザエクスペリエンスという言葉の浸透と伴に、細部まで意匠のゆき届いたものづくりを目指す心構えは定着したように思う。

細部を気にするマインドを悪癖という理由を雑にいうと、顧客にとって大事じゃない細部までこだわりはじめることがあるからだ。

面白みのない汎化だが、物事には「いい細部」と「どうでもいい細部」がある。いい細部は顧客体験と、事業を伸ばす観点から重要な細部で、どうでもいい細部はその逆だ。どうでもいい細部にこだわるとロクなことがない。細部にこだわることは、自分の時間も多く費やすし、仕事で巻き込んだ関係者の時間も奪う。そして細部にこだわった結果アウトプットが薄味だと悲しい。仕事をうまく回すやつは細部の取捨選択が上手い。

先述通りIT界隈では細部へのこだわりが重要視されている。解像度解像度といいながら細部こだわりマンを増やし、育成する会社は多い。その過程で、僕のようなどうでもいい細部こだわりマンが、ちょくちょく発生する。こんなことから、IT界隈ではどうでもいい細部こだわりマン同士が邂逅した現場がうまれることがある。

近頃、どうでもいい細部こだわりマン(ここではAさん)と膝を付き合わせて仕事をする機会があった。僕とAさんが一緒に行う仕事は質はともかくとても効率が悪かった。どうでもいい細部こだわりマンの性質をもった者同士が仕事をすると、どうでもいい細部に関して延々と話し続けてしまう。例えばこんな感じ、

いちおう僕は悪癖矯正中の身なので、Aさんのこだわる細部に対して、「ここは価値が大きくない仕様なので、質を追わずなるべく簡素な仕様にしましょう。」といったアプローチをとる。
Aさんは細部にこだわるが故に、よくも悪くも仕様を熟考していて簡単に引き下がれない。よしんば引き下がっても細部へのこだわりが起動して「簡素な仕様にするための3つの選択肢」みたいなのを提示してくる。
こうなると僕の細部心にも火がつく。3つの選択肢に対して細かく指摘を行い、その後「本当に簡素な第4の道はこれじゃないの」と話をこじらせはじめる。悪循環。

Aさんと一緒に仕事をして、だめな細部へのこだわりに対する理解が深まった。経験不足や能力の欠落ともいえるんだが、根本は当人の性格による部分が大きいのではないか。プライドが高く、完璧主義で、自分に自信がない人間は、否定されることが怖いので全ての不安を消しておきたいと思う。結果サボるべきところまで無駄に考えしまう。この思考の癖が細部にこだわるべしというスローガンを後ろ盾に増長しているのだ。

ちなみにどうでもいい細部へのこだわりは、効率が落ちるだけでなく、質が落ちる危険性も孕んでいる。効率が悪くなり納期がギリギリになる。無理やり間に合わせるために、最終盤でこだわる細部を絞る。その結果、重要だった細部が3、どうでもいい細部が7ある仕事に対して、重要だった細部が1、どうでもいい細部が5考え抜かれた最終アウトプットが出てくる。みたいな話。

文字数をかけたがよくある話だと思っている。これはどうでもいい細部にこだわったnoteです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?