とある相続の話② ~不動産登記~


不動産登記の義務化

令和6年4月1日から不動産を取得した場合の登記が義務化されましたね。
罰則規定も設けられているため、

うちにも登記してない物件があったな……!!

と慌てている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

残念ながら現時点で登記が済んでいない物件については面倒でも登記手続きを進めるしかありませんが、今回は、これから相続を迎える方のために、に登記していない物件でどういう問題が起こるのか、どんな対策が考えられるのかを簡単にお話ししたいと思います。

相続登記をしないリスク

 相続が発生しても所有権変更の登記がされていない場合、法定相続人がそれぞれの法定相続分ずつ共有している状態となります。
 このまま、さらに次の相続が発生すると、その相続人も法定相続分ずつ共有している状態になります。

(相続人の相続人の相続人のそのまた相続人の…………∞)

 つまり、相続が発生するたびにその相続人の数だけ共有者が増えていくことになります。
 そして、その土地を登記するためには、原則共有者全員による分割協議が必要となります。

 このように、相続登記を放置すればするほど、『会ったこともない遠い親戚と分割協議をしなければならない』というリスクを負うことになりますし、地理的に離れていればなおさら手続きは難航するでしょう。
 さらに、このような面倒な不動産登記を司法書士に依頼すれば、当然その報酬額も高額なものとなります。

 相続人が少ないうちにきちんと登記をすることが、結局は節約になるということですね。

不動産の相続対策

 『相続対策』と聞くと、相続税がかかるような資産家だけの話で、自分には関係ないと思っていませんでしたか?
 実際には、相続税はかからなくても、『相続財産は田舎の実家だけ』という場合の方が、

  • 不動産をもらっても使い道がないから相続人同士で押し付け合う

  • 揉めるのが面倒で放置してしまう

  • 税金の申告がないから登記も忘れてしまっていた

というような問題につながりやすいかもしれません。

 不動産の相続を放置すれば、未登記による罰則はもちろん、放置されている空き家は固定資産税の優遇が受けられなくなったり、近隣トラブルや放火・盗難などの犯罪被害のリスクが高まるなどデメリットしかありません。

 急に相続が発生しても慌てないよう、

  • 両親が所有する不動産をしっかり把握しておく

  • 売却・賃貸などの活用が可能か、不動産売買が盛んな地域かなど、相談できる不動産屋を探しておく

  • 分割がスムーズに進むよう、相続人同士がしっかり相談しておく

なども、立派な相続対策になります。

 ここでもやはり、
一番の相続対策は、家族でお金のことを話し合える雰囲気を作っておくこと
だと思います。

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