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コンサルがよく使うフレームワーク② PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)

さて、この記事では経営戦略を考えるときに用いるPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)について紹介します。

PPMを用いるタイミングとしては、複数の事業を営んでいる企業に関して、それぞれの事業の位置づけがどうなのかを把握し、全社レベルで経営資源の割り振りをどうするのが最適なのかを検討するために使います。とても視座の高いフレームワークといった印象ですね。

もともとボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が考案したもので、縦軸に市場成長率を、横軸に自社の相対的なマーケットシェアをとり、各事業がどこに位置づくかをプロットしていきます。「相対的」とは、業界のトップシェアを基準としたときの大小を使うということです。業界によって寡占度が異なるからですね。例えば携帯電話の通信キャリアとリフォームでは寡占度は全く異なるので、それぞれの業界トップでも単純なシェアの値は10倍以上違います。

左下の「金のなる木」は、市場があまり成長しておらず、一方で自社のシェアが高いような事業です。このような事業では、投資を自社のシェア維持くらいにとどめておいて、キャッシュを効率よく稼いでいくような位置づけにすべきだと捉えます。

左上の「花形」は、市場成長率が高く、自社のシェアも高いような事業です。このような事業では、積極的に投資して、拡大するマーケットをちゃんと獲得していこうよというような位置づけにすべきだと捉えます。積極的に投資しないと、競合にシェアを奪われる(新規に増加した部分を競合に刈り取られてしまう)恐れがあるからですね。「金のなる木」で稼いだキャッシュをここに投資し、次の金のなる木に育てていくようなイメージです。

右上の「問題児」は、市場が伸びているけれども、自社のシェアは低い事業です。このような事業では、積極的に投資して自社のシェアを高めていくのか、それとも思い切って撤退するかを検討すべき位置づけだと捉えます。いわゆる選択と集中のためのセグメントです。

右下の「負け犬」は、市場が成長していないし、自社のシェアも低い事業です。このような事業は、撤退・売却すべきだと捉えます。

とても分かりやすいフレームなのですが、いくつかの指摘もあります。例えば、事業間のシナジーを考慮していないだとか、シェアが低くてもしっかり利益が出ているならいいじゃないか、といったような指摘です。フレームワークは道具の一つで、「これさえあれば大丈夫、完璧」というような万能のものではないので、あくまでも頭の中を整理するための議論の取っ掛かりとして使ってもらえればと思います。


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