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無為の政治

2021年9月7日に投稿された記事です。
SNS管理者 田中康男

 いつだったか、時の防衛大臣の講演会に招かれて居眠りしていると、

 「日本を良くするのは簡単じゃないですか。政治家や官僚が老子の思想を少しだけ実践すれば日本の政治は直ぐに良くなる… 」

 突然、某政治評論家のスピーチが耳に飛び込んだ。この国にも、まだ骨のある評論家がいたかと眠気が失せたのを覚えている。

 彼は、そう言っただけで、その何たるかを説明することなくスピーチを進めた。彼なりに時の政治を批判したのだろう。

 老子が理想とした政治は無為の政治だった。

 不上賢 使民不争 不貴難得之貨 使民不為盗 不見可欲 使民不乱

 為政者が賢者を重用しなければ人は功名を争わない。財貨を重要としなければ人は盗まない。欲望がなくなれば人は乱を起こさない。

 彼は、少しでもそれに近づく政治をしろと言いたかったのだろう。

 万人が「マネー主義社会」を常識として疑問の欠片さえ持たなくなった社会。老子の思想は、その対極にある。

エムケイコンサルティング 良仁