アメリカの小学生が最初に持つ電卓
テキサスインスツルメンツの電卓TI-108
テキサスインスツルメンツ社( Texas Instruments Inc.)は半導体を開発・製造する世界的な企業。
その企業のズラリと並んだ製品ラインのひとつが電卓。
家庭用から関数電卓まで各種の電卓を生産しています。特に、TI-89 シリーズ(写真;下)は大学進学適正試験(SAT;エスエーティ)での使用を許可されているので高校生の必需品になっています。
さて、今回ご紹介するのは、テキサスインスツルメンツの電卓の中でも、
最もシンプルで
最も安価で
最も堅牢で
最も経済的で(ソーラパネル)
最も多く使われている
電卓TI-108です。(写真;下)ほぼすべての米国の小学生が最初に持つ電卓です。アメリカ国旗の青・赤・白の三色カラーが、いかにもポップで小学生が喜びそうなデザインです。
TI-108のデザイナーは日本人
1980年代、日本人チームによって、電卓TI-108がデザインされました。
アメリカ人の電卓だからカラーコンセプトは星条旗。ボタンのすべり止めは星条旗の星を表したそうです。
『=』キーは低学年の小学生が押し間違えないように大きくしてあります。いかにも日本人らしい気配りです。おかげで、発売から40年経った現在も、小学生だけでなく、ちょっとした計算に使う家庭用電卓として、人気のロングセラー商品になっています。
日本でも、欲しいというリクエストがたくさんありました。しかし、アメリカでは全て学校納品で一般市場での流通はありませんでした。
交渉のすえ、2015年、ようやく商談が成立して日本に上陸しました。米国で小売りされていないTI-108が日本で販売されたのでアメリカ人が驚いたほどです。
その使いやすさが評判になって、子供に買い与える親が増え、家庭用の需要も増えて人気商品になっています。
デザインチームを率いた根岸秀孝さんは、日本の名車ジェミニの初代モデルのデザイナーであり、数学教育における関数電卓の必要性を唱える学者さんでもあります。米国のように、日本の小学生もTI-108で電卓に慣れて日本の未来を築く人材に成長してほしいと願っています。