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その人にできることをさせるのが人事

独立未満の中小企業診断士 (hiro) です。

係長に昇任して、これまで横並びだった同僚が部下になった時の話です。異動して職場を去る前任の係長から引継ぎを受けました。

そのなかには、個々の職員の資質に関するコメントもあったのですが、「仕事が遅く、説明が長い、そのため手続きを早く進めたい申請者に迷惑をかけることがある。また自分の意見を曲げない。」という評価を受けている人がいました。(内容は改変しています)

前任の係長から、この職員が「詰められている」姿を何度も見たことがあります。ですから、たしかにそういう評価を受けてしまうところがあるのかな、という印象をそのときは感じていました。

ですが、私が係長になってから、仕事を任せてみると結構頼もしいところがあることが分かりました。

仕事が遅いのは、その場の勢いやノリ、前例踏襲ですすめることなく、許認可業務を取り扱ううえでの法令や実例の検討に時間がかかっているからでした。

説明が長いのは、その経過や結果をきちんと話そうとしているからだということもわかりました。手続きをしたい人の中にはつべこべ言わずに申請を通してくれという人もいますし、結論だけ聞きたいという上司もいますので、そういう人たちからは迷惑がられたのかもしれません。

そこでこの職員には、比較的困難な事例の調査と、法令上の検討をやってもらうことにしました。検討方針を一から考えさせると手が止まってしまうこともあることから、ある程度の方針を与えて、それに従っていくつかのプランを立ててもらうことにしたのです。

するときちんとプランごとに、現状と課題、法令上の問題点の有無、実現可能性などをレポートしてくれるのです。結論はそれをみて私が決定し、上司に説明することにしていました。

おかげで、一人で抱え込むと面倒な仕事が分業できるようになり、この職員も私もずいぶん気持ちが楽になったのです。

この職員は表情も前に比べると明るくなり、問い詰められたときに頑固さを見せるような返答をすることもなくなりました。


成果をあげるには、人の強みを生かさなければならない。弱みからは何も生まれない、とはドラッカーの言葉です。この職員と仕事をした経験を通じてその言葉の意味を実感しました。

お読みいただきありがとうございました。じゃまた!

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