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好きなことで生きていける訳ない信者の僕が一万円選書を知って思ったこと

「#好きなことで生きていく」というのが昔流行ったが、そんなうまい話ある訳ない。

成功者は「好きを仕事にしよう」とか「好きなことを続けているから、どれだけ仕事をしても疲れない」とか言う。
でもそこには成功者バイアスがかかっていて、成功者の数百倍、数千倍の敗北者が隠れているのだ。
そうした言葉に惹かれて、一時の感情で好きなことで生きていこうとすると大抵失敗する。

失敗する理由は色々あるだろうが、私の経験的に以下の3つに集約される。
・好きなことをやるために必要な、山ほどある好きじゃない作業に忙殺される
・好きなこと故に自分の作るモノ(サービス)の品質に妥協ができず、製品(サービス)がビジネスとして成り立たない
・没頭した結果、それほど熱意をかけるほど好きではないことに気が付く

なので、私は「好きなことで生きていく」という論には反対で、そうしたことを言う人を冷めた目で見ていたのだ。

さて、私は数年前にこの記事を読んでいわた書店の「一万円選書」という存在を知った。

お客さんがカルテを記入し、そのカルテを基に店主の岩田さんがお客さんへぴったりの本1万円分を選ぶというものだ。大変人気で、年に3,000人も応募があるという(私も毎年応募しているが当たったことはない…)。

この一万円選書の存在を知って思ったことは、「岩田さんは、本当に好きなことを仕事にした人なんだ」ということ。
そもそもひとりひとりにあった本を選ぶのは容易ではない。本を選ぶための時間だけでなく、毎年発売される本を読んでお勧めできる本の幅を広げる時間も必要だ。それを書店経営をしながらやるのである。相当の負担であろう。

また、一万円選書も最初からこれほど人気だったわけではないと聞く。数年もの間、時間もかかる割に利益にならない選書を続けた結果が今あるとのこと。

これほど時間をかけて選書を続けること、それも結果が出ないまま何年も続けることができたのは、岩田さんが『尋常じゃない本好き』だったからだろう。

冒頭で私は好きなことを仕事にして失敗する理由を3つ述べた。その3つを乗り越えて、しかも年単位の時間をかけて乗り越えることができるような人は、本当の意味で「好きなことで生きていく」ことができるのだろう。そう思った。

そして、今年こそは一万円選書にあたりますように。

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