見出し画像

最近聴いているアルバム2022.05

最近は仕事で脳がいっぱいいっぱいのため、未聴作品の発掘はせず、昔聴いてた作品ばっかり聴いている。こうやって懐古おじさんになっていくのかもしれない。


Arctic Monkeys 『Favourite Worst Nightmare』(2007)

画像9

バンドサウンドの筋力増強と曲展開の可能性を探った作品。タイトでフックに溢れた前半5曲も良いが、"Do Me A Favor", "This House Is A Circus", "If You Were There, Beware"こそがこの路線の真骨頂。アイデアに溢れたギターとドラムの絡みは、"ステロイドを打ったThe Police"とすら評したくなる。このバンドは成長を急ぎすぎるあまり、成熟の前に矢継ぎ早に次のモチーフに移ってしまう印象があるが、傑作『AM』『Tranquility』にすら、この3曲を超える興奮を覚えたことは無い。


Coldplay 『Viva La Vida or Death And All His Friend』(2008)

画像2

彼らは地味に常に実験性を抱えているが、それが一番露わになった作品。"Lost!"のリズムとオルガンの合わせ技はコロンブスの卵的な発想だし、"42"や"Death And All His Friend"の大胆な曲展開、"Violet Hill"の開始30秒の不要に思えるアンビエントや変にラフなミックスなど、違和感を感じさせながら、曲の良さで力技で持っていく。実はそれこそがUKロックの最大の美点だと私は思っていて、The PoliceXTCBlurも、側から見たらよく分からない変な方向性にやたら拘り、そこに力技で説得力を持たせてきたバンドだ。本作はそこにさらに旅情や生死をテーマとしたコンセプトも持ち込んだ。最高傑作の名にふさわしい力作。


Interpol 『Interpol』(2010)

画像6

Paul Banksのボーカルは抑揚や起伏に乏しく歯切れが悪い。その単調なボーカルと、やたらシリアスで重苦しい演奏とのミスマッチ感が期せずして生んだ独特の緊迫感、背徳的なクールネス。それこそが本作の良さと感じる。何かあるようで、何も無い。中身は無いが、ムードだけはある。それで十分かもしれない。


Pure X 『Angel』(2014)

画像8

2020年の『Pure X』はディストーションが夕陽に溶ける名作だったが、本作はアコースティックギターの清廉な響きが浮世離れしたサイケデリアをもたらす。5月の午後、爽やかな木漏れ日。絶望が優しく語りかける。夢が朽ちていく。


Steven Wilson 『Hand Cannot Erased』(2015)

画像8

プログレからアートロック/オルタナティブロックへの緩やかなグラデーション。彼のソロ作の音楽的変遷はそのように言い表せるが、本作はその中間。王道UKプログレからダークウェイヴ、ギターポップに至る様々な曲調をまとめ上げる高い演奏力、間伸びしない緊張感、一貫した悲劇的なストーリー性。YesKing Crimsonなどのリマスターを手がけたりしているのでプログレ畑の人間と思われがちだが、広義の現代ロック全般においても、この人以上に才能と意欲に溢れた人物はいないと断言できる。ちなみに私は次作『To The Bone』がダントツで好き。


Brand New 『Science Fiction』(2017)

画像5

何度聴いても完璧の一言しか出てこない。ロックが本来的に持つ禍々しさや気味悪さにフォーカスしながら、同時に演奏とサウンドプロダクションがあまりに洗練されている。制作時に何か異様なゾーンに入っていたであろうことが容易に想像できる。構成要素が隅々まで分解/研究され、感情の捌け口ではなく一つのマーケティング手法となった現代のロック。それ自体は良くも悪くもないが、私はこういうリアルな音だけ聴いていたい、というオジサン宣言。


Happyness 『Write In』(2017)

画像1

Happynessの3枚のアルバムはどれも違った魅力がある。本作で彼らがインスピレーションとしたのは、Randy Newman, Burt Bacharach Tom WaitsDusty Springfieldなど。クラシックな王道のソングライティングに取り組んだことがよく分かる。"The Reel Starts Again"や"Through Windows"なんかは見事にモノにした名曲だし、やっぱりこの人たちのソングライティング力は常軌を逸しているなと改めて思う。なお、この要素を担っていたBenjiが本作後に脱退したため、2020年の『Floatr』は再びインディギターロックに戻っていた。


The Voidz 『Virtue』(2018)

画像8

人を煙に巻き人を食ったような悪趣味なセンス。突如のストレートな感傷(メロウネス)。その2つが何の違和感もなく同居しているのがJulian Casabrancasという人の面白さだと思う。The Strokesだとバンドとしての整合性を取るため、あまりその面白さが表に出てこないが、The Voidzではもっと容赦なく堂々と、悪趣味と感傷の間を歩き回る。だからこそ私はThe StrokesよりThe Voidzの方が好きなのだ。


レコード収集

前からチラホラ買ってはいたが、ここに来てレコード収集欲が再燃。ここ10年間で特に好きなアルバム4枚を立て続けに購入。

画像7

他にも、Floating Points『Promises』, John Mayer『Sob Rock』, Gomez『Bring It On』などを近々、購入予定。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?