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最近聴いているアルバム2024.02

今月も学生時代によく聴いていたアルバムを再訪していた。思い出が蘇る懐かしいアルバムと、新鮮な驚きがあるアルバムの2タイプに分かれる。


The Pale Fountains 『Pacific Ocean』(1984)

You'll Start A War

青春の音。トランペットが青空の下で切なく響く。モリッシーのアクがどうしても好きになれない私にとっては、「The Smiths的なバンド」の方がThe Smithsより好きだったりする。これはまさにそういうバンド。自分が社会の中でどのくらいの力を持っているのかとか、自分には才能があるのかとか、そういった「余計なこと」を一切考えていない。あまりにも純潔で眩しい。


Stereophonics『Word Gets Around』(1997)

Local Boy In The Photograph

爽やかさと切なさとキレッキレのボーカル。そして圧倒的な曲の良さ。よくある愚鈍なブリットポップとは完全にモノが違うしムーヴメントとか関係なく必然的に姿を現していたであろうギターロックの名盤。良し悪しではなく傾向として、EmbraceとかThe Bluetonesとかと比べるんじゃなくて、むしろ当時のGreen DayやGoo Goo Dollsとかと並べた方がしっくり来る。


My Morning Jacket『Z』(2006)

Wordless Chorus

本作はファンクだとかシンセだとか"America's got own Radiohead”だとか言われたけどそれはあくまで彼らにとっては、くらいの話で、本質が豪快な大陸ジャムバンドであることは何ら変わらない。SNSで他人の粗探しばかりしてる人達をむりやりMMJのライヴに連れてってJim Jamesの純度100%の汗と唾を被ってもらいたい。炎上するのは魂だけで十分だ。


Editors『An End Has A Start』(2007)

The Weight Of The World

1stの美点だったポストパンクの鋭いギターや沈み込むような深みを保ちながら、歌モノとしての巨大なスケールや叙情性を加えることに見事に成功している。理想的な2ndアルバム。望みさえすれば第二のColdplayにもなり得た才能だと思うが、そこに何の意味もないことを彼らは知っていた。3rdでのアヴァンギャルドでハードボイルドな激変を聴き私は完全に惚れた(その後の4thでガッカリするのだけれど)。


The Boxer Rebellion 『Union』(2009)

Spitting Fire

00年代のUKの二大ブームと言えばもちろんガレージロックと美メロロックだ。両方ともトップクラスのバンド以外は非常に退屈だったが、ブームからやや遅れてきた本作はまさに美メロロックの総決算とも呼べるものに仕上がっていた。有名な1曲目はもちろんのこと、”Soviets”とか”Spitting Fire”は特に名曲。アルバム通しての緩急も適切で、欠点らしい欠点がおよそ見当たらない。なるほど、これが名盤か、という感じ。


Alcest 『Shelter』(2014)

Shelter

「夢で見た色も形も匂いもないあの世界」を表現することを目標に始めた耽美志向のプロジェクト。2010年代前半のインディロック界隈でのニューゲイザーブームにも乗り、本格的にメタルを捨てシューゲイザーの王道を突き進んだのが本作。バンドを始めた目標であるあの世界、明るくて暖かいのに何故か泣きたくなるほど絶望的なあの世界、それを再現することだけに注力し、そして見事に達成してみせている。シューゲイザーはたくさん聴いてきたけど、トップ3に入る金字塔。


Eagulls『Ullages』(2016)

Lemontrees

英リーズのポストパンクバンドの2ndアルバム。Killing Jokeフォロワーというのがすぐ分かる1stは勢いはあるけど単調だった。本作はキュアーとエコバニの要素を増やし緩急の効いた佳作に仕上げている。先鋭性よりも叙情性に重きを置いているのが私好み。解散せずにもうちょっと続けていたら2018年以降のポストパンクブームに乗れてもっと有名&人気になっていたかもしれない。レーベルもPartisanだし。タイミングって難しい。


Ana_thema『The Optimist』(2017)

Endless Ways

ピアノで書かれたダイナミックな歌モノを主軸に据えているが、シャープなギターと繊細なエレクトロニカがモダンな響きをしっかり付け加えている。すっかり悲観主義者になってしまった自分の中に居たはずの楽観主義者を探す旅に出るというコンセプトも良い。大団円の名曲”Back To The Start”の最後、”How Are You ?”という問いかけでこのアルバムは終わる。答えは一つに決まっているし、この言葉がこのバンドの最後だというのはキャリアの締めくくりとしてカッコ良すぎると思う。本当の意味で音楽の力を感じさせる渾身の力作。なるほど、これが名盤かその2。




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