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Twenty One Pilots - Scaled And Icy (2021)

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総評: 4/10

感情の幾百の機微、人生の様々な側面を的確に表現し同じ境遇にあるリスナーを勇気付けることは、ポップミュージックの最大の役割の一つだ。自らのメンタルイルネスというヘヴィなテーマを分厚いサウンドに乗せ、多くのリスナーの心を掴んだ前作『Trench』。そこから180°方向転換し、コ口ナ禍だからこそ「人生の楽しさや前を向くことの重要性を説く」という本作のテーマは良い。

だが、そのテーマを心に響かせるだけの説得力が本作の曲には足りない。陽気なポップロックが大半を占め、その多くは聴き心地がよくスムーズに流れていくが、アイデアも曲の良さもこれまでの作品に劣ることに、すぐ気付く。

OK Goのアルバム曲の如く締まりの無い"Never Take It"。Pixar作品のエンドロールで流れる毒の無い提供曲のような"Formidable"。"Mulberry Street"や"Bounce Man"はそれよりも更に能天気で弛緩している。果たして本当にあれだけスリル溢れる前作を作り上げたバンドの曲なのか。もっと言えば、終盤2曲が急にシリアスな曲調(前作のアウトテイクのような)になり、そのまま暗いムードで終わる構成にも違和感を覚える。何がしたいのか?

インディロックとしての面白味。メインストリームポップとしての貫通力。どちらも足りない。新たな視座を与えてくれたり、新たな地平へ連れて行ってくれるものにもなっていない。実力のあるデュオだからこそ、このような中途半端な作品では到底、満足できない。

1,4はこのバンドらしい捻りがある。3も文句無しにキャッチーで良い。その他は…




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