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John Mayer - Sob Rock (2021)

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総評: 8/10


80'sの風を受けたJohn Mayer、夏の作品。

TOTOSteve Winwood, Mark Knopler, 時折Michael McDonaldをも想起させる80年代前半の清涼なポップロック、AOR風のサウンドに仕上がっている。シンセコードのリフであったり、清潔さのみを表現するピアノであったり、控えめなカッティングギターであったり、女声コーラスであったり…。

しかし全く時代錯誤に聴こえないのは、80'sミュージックが今日のポップシーンにおいて音の在り方の一つとして完全に市民権を得ていることもあるし、何より危険水域には決して踏み入らない、彼のセンスの良さが滲み出た結果と思える。

一方で、本作に散りばめられた80'sの要素を語り尽くすことはあまり意味が無いとも思う。というのも、それはあくまで表面的な装飾、釉薬でしか無く、彼の本質はシンプルなシンガーソングライター以外の何者でもないからだ。

これまでもギターロック、フォーク、ロックンロール、シティポップとマイナーチェンジを繰り返してきたが、本作の80's志向もそれらに地続きのもの。決して突飛なわけでも、根っこが変わったわけでもない。なんならアーバンポップな前作『The Search For Everything』の方がチャレンジングであり、本作の方がよっぽど王道の彼に近いと感じる。

つまるところ、彼の音楽を聴くときに期待するのは、"あの"ギタートーン、ツボを抑えた弾き過ぎないプレイ、セクシーな声、良い曲、それらが今回もしっかりあるのかどうか?に他ならない。そしてそれらがしっかり在るならば、何年代風だろうと関係ないのである。猛暑を乗り切るお供として素晴らしい佳作。


端正なポップロックがずらりと並ぶ。出色は、あえて240pでMVを観ることで80年代風にすることが流行った1、かっちりした8ビートの3、などだが、どの曲も同じくらい良い。



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