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Snow Patrol 『The Forest Is The Path』 (2024)

7/10
★★★★★★★☆☆☆


前作『Wilderness』から6年ぶりなので一体どのようなアルバムになるのかと思っていたが、何のことはない、これまで通りのSnow Patrolそのまんまの世界が広がっていた。

基本となるのは、分かりやすいサビをしっかりと歌い上げるミドルテンポの曲。頭4曲の”All”, “The Beggining”, “Everything’s Here And Nothing’s Lost”, “Your Heart Home”はまさにそういう曲調で、彼らの魅力が何だったかをしっかり思い出させてくれる。思えば、過去にTaylor SwiftEd Sheeranのアルバムに参加した際は「売れ線だ」と揶揄されたこともあったが、結局生き残るのは何の衒いもない「ただの良い曲」だということを彼らは知っているのだ。

Hold Me In The Fire”は本作随一の名曲。昔で言えば”Spitting Games”や”You’re All I Have”, “Signal Fire”のようなドラマティックなメロディに心が躍る。続く”Years That Fall”は昔で言えば”It’s Beggining To Get To Me”や”Please Just Take These Photos From My Hands”のようなオルタナティヴロック。やや単調なメロディがクセになる。

Never Really Tire”はシリアスな表情で一つのメロディを延々と繰り返す。深刻そうな雰囲気を出したいのは分かるが、かなり単調。昔からこういうタイプの曲をやりたがるけど、一曲単位で聴いた時に魅力があるとは思えない。間髪入れずに始まる”These Lies”も一本調子。

What If Nothing Breaks ?”は優しいアンビエントサウンドに包まれる心地の良い曲。前2曲みたいな曲調よりこういう曲の方が似合っていると思う。ちょっとしたバラード”Talking About Love”を挟んで、ラストの”The Forest Is The Path”は繰り返されるアルペジオと電子音がホワホワした淡いムードを生み出している。前作のラスト”Life And Death”と雰囲気は似ている気がする。

テーマは恋愛について。正直に言えば、テーマにも表現にも特筆すべきところは見当たらない。ただ個人的にはこのバンドにはそこまでインパクトのある強い歌詞を期待しているわけでもないので、優しい音に対してそのイメージを壊さない歌詞が乗っているだけで十分と思っている。

地味で無骨ながら味があった前作の作風も良かったが、優しく力強い本作の作風も捨てがたい。長い間待っていたファンの期待に十分に応える一枚。

やっぱり広い会場が似合うバンド。

Apple Musicのアーティストプレイリストの選曲が微妙なので、自分で作成した。これシャッフルで聴いてるだけでも、このバンドのメロディセンスがいかにずば抜けているかよく分かる。"Chocolate"とか"Run"とか今聴いても凄い。


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