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Deftones - Ohms (2020)

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総評 : 8/10


Deftonesとはどういうバンドなのか。今どういうことができるバンドなのか。それを堂々と叩きつける、最良の、これ以上ないアルバムだと思う。

オルタナ風が多いヘヴィなリフと静寂を織り交ぜた多彩なギタープレイ。豪快な音圧。昔とは違い必要以上に耽美に堕することのない硬派でストイックな雰囲気。隙なく破綻なく仕上げられた一流の完成度ー。本作の特徴を列記していると、それらは前作『Gore』にも共通していることに気付く。

その『Gore』と比べると、よりギタープレイが硬軟の多彩さを増し、さらに洗練され、ボーカルも遥かに力強い歌い方をするようになった。音自体から滲み出る自信、迫力も段違い。『Gore』に見られた何かが噛み合ってない感は、本作には無い。非常に自信に満ち溢れた確信的な音。

私の中では、本作は『Gore』の正統進化作、それもかなりレベルを上げた進化作、という印象が一番強い。私は『White Pony』と『Koi No Yokan』が好きだが(死ぬほど聞いた)、本作も相当気に入っている。

01 Genesis
『Koi No Yokan』を思い出させるエロい(雨に濡れたネオン街のような)イントロから始まるが、すぐに『Diamond Eyes』風のヘヴィなリフが入る。限界シャウトとエロい囁きを並行させるやり方は『Koi No Yokan』的手法。"Climbing 〜"のサビも、しっかりフックがある。いきなりの傑作。

02 Ceremony
イントロのミュートされたリフは『Gore』風。前作の要素を効果的に取り入れ、良い印象を与えることに成功している。この曲も中盤で一瞬『Koi No Yokan』風の静かなパートがあり、本当に集大成という印象。

03 Urantia
『Diamond Eyes』の"Rocket Skates"を思い出させるゴリッゴリにヘヴィなリフに目を覚まされる。ヴァースではその喧しいリフをボーカルと見事に同居させる洗練されたテクニックを見せる。サビは突き抜けたメロディではなく、ヌルッとした感じ。

04 Error
背後のゴリゴリヘヴィなリフと、強烈なスネア、艶かしいボーカリゼイションの自然な絡み。これこそがキャリア通じてDeftonesの最大の特徴。それをこの曲では最高に楽しむことができる。

05 The Spell Of Mathematics
前半こそ普通に激しいけど、ディストーションの残響を生かした後半が見事。フィンガースナッピングのようなリズムも洗練された感覚を与えている。『Gore』には無かった、鳥肌の立つ静寂。

06 Pompeji
どこか『Saturday Night Wrist』の世紀末的浮遊感がある。カモメの鳴き声のような効果音も『SNW』っぽい。"Xerces"とか。終盤の唐突なアンビエントシンセも、やりすぎ感は無く必然とすら思える。一番好きな曲かも。

07 This Link Is Dead
斬新なギターの使い方、タイト極まるシンバルワークが好き。構成要素としては『Gore』と似てるんだけど、正直、音の迫力が段違い。ボーカルにも『Deftones』のころの壮絶なエモーションが宿っている。紛れも無い傑作。

08 Radiant City
ファズの効いたギターイントロが印象的。冷静に書いてるつもりだが、これだけヘヴィなギターをここまで"カッコよく"、洗練させて聴かせることができるのは本当にこのバンドだけだと思う。

09 Headless
クリーンなギターが残響の中でたゆたうイントロは、まんま『Koi No Yokan』。この曲は比較的ボーカルメロディに比重が傾いてるような。

10 Ohms
表題曲は、この曲だけギターリフの雰囲気がガラッと異なる。ブルースっぽい芋くささを感じさせる。そういえばこのバンド、レイナードスキナードをフェイバリットに挙げてたな…なんでここに来てこの音が来るんだろう。このラストは逆にクール、面白い。

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