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私失格「人間失格」

大文豪、太宰治作、人間失格を読んだ、人様が落ちていく内容の話はどうも自分に合うらしい、先日読んだ本も同じような内容であった、何に惹かれるのだろう
おそらく理由はこう、他人が落ちていく様子を見て自分はまだそこまで落ちていないと耐えれるからだ、
人と比較してしか生きれない愚かな人間よのう、と誰かに言われるかもしれないがそれは置いておこう、

「恥の多い生涯を送ってきました」から始まる本編、大庭葉蔵の人間失格の様子が描かれているが、一般的に知られているようにこれは太宰自身の恥の多い生涯である、


人間が失格に至るまでが描かれているのだが、この太宰という男、そもそも自殺願望の強い、根っからのクズ、だと思い込んでいたのだが、実際は違ったらしい、彼は人を愛せなかった、それは周囲に疑心を持ったままであったから、自分に対して、周囲に対して億劫であったこと、自分に対して特に否定的であることこれらが彼自身を幼少から蝕み、とうとう全部を喰われてしまったそんな気がしてならない、

またこれらの感情、否定的な部分はわたしの中にも存在している、わたしだってどのタイミングで人間を失格するかわからない、だいたい全ての人間が失格する可能性を持っているだろう、失格とは何か、太宰の中では薬物に溺れ周囲とは違うバショで生きていかなくてはならないことだった、人に対する線引きが線ではなく大きな領域にまで展開してしまった、そんなこと我々にだって起こり得る、

太宰はこの自分で自ら引いた線引きに苦しみ、線引きに人間を辞めさせられた、
この線引きがあった故に何かに酔い凌ぐしかなかった、それはある時は敬意にも似た好意でありある時は女、ある時は酒、ある時は薬物だったのである、
じゃあ私にとっての酔いはなんなのだろう、酒か?食か?いや違う、恐らく太宰のような赤の他人の人生を見ることに酔っているように感じる、非常に悪趣味である、まるで、緑色の生地に毒々しい赤の刺繍が凝らしてあるセーターのように悪趣味だ(個人差アリ、わたしにとってはかなり悪趣味)


彼の生涯を踏まえて、恥の多い生涯を送らないように努めよう!違う、そういうことではないし、太宰は別に啓蒙したかったわけでもないだろう、彼はこの自伝のような遺作に何を残したかったのだろうか、
私にとっては魅せることのできなかった彼の本心のように感じるが、
彼が存命していないから本当のことは聞けない、し、わたしのような女は恐らく太宰に魅せられてヒモにしてしまうタイプである、同じ時代に生きていなくてよかった気もする、
しかし会って話してみたいとも思う、そうかわたしが男性になるしかないのだろうな、、、
そうやってわたし自身、過去の文豪、魅力的な太宰という男に酔っているのだろう、いつの日か私失格になるかもしれぬのに。

まあ、本当は文豪ストレイドッグスから読もうと思ったなんて、死んでも人に言えないのだが、ピース。

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