第04章:けんじゃ の たーん
勇者は不安障害を克服した。それはどんな方法だったのか、僧侶は前のめりになりながら、勇者の言葉に耳を傾けた。
勇者「今からするお話は、さとりの書を読み、私なりに解釈し、自身で試し、補完した理論です。あなたにも有効だと考えますが、絶対的なものではありません。」
僧侶「構いません。お願いします。それにしても、さすが勇者さまですね。賢者の資格もお持ちだったとは。さとりの書を取りに行く試練はさぞ大変だったのではないですか?」
勇者 「いえ、図書館で借りました。人気なので予約してから手元に来るまでに時間を要しましたが。」
僧侶「えっ!?迷宮をクリアしたりしなくて良いんですか?!、、あ!また、冗談ですね?」
勇者 「いえ、これはホントです。最近、図書館に行きましたか?大人になり、読書をするようになってから図書館に行くと、その魅力に気がつきました。運が良ければ最新ベストセラー作品もタダで読めるんですよね。もう癖になって毎週5冊借りてます。あと、何が良いかって、、」
僧侶「あ、あの!勇者さま、図書館の話はそれくらいで、、」
勇者「失礼。ではまず、あなたにしてもらいたい事は不安の仕組みを理解する事です。」
僧侶「不安の仕組み、、ですか。」
勇者「はい、あなたが自身におこっている現象を理解することが、克服の第一歩です。今あなたは、どんな症状が一番つらいですか?」
僧侶「そうですね。。。一日中、漠然とした不安感が続く症状がツライです。あと、たくさん人がいるところに行くと、動悸がして息苦しさとめまいに襲われる事があります。先ほど勇者さまのおっしゃっていたパニック症状です。心がバグってしまっているんだと思うんです。」
勇者 「さぞ、お辛いことでしょう。ただ、私はそれら不安やパニック症状はバグではないと思っています。」
僧侶「バグではない?それらは正常な動作だとでもいうのでしょうか?」
勇者「はい。」
僧侶「そんなはず無いのでは。。パニックになんかなりたくないし、なる必要もないのに、意思に反して症状がでるんですから。」
勇者 「いえ。あなたは、無意識ではありますが、不安やパニックになる状態を求めています。」
僧侶「そんな、、そんなわけないじゃないですか!なぜそんな事を私が求めるというのですか!?」
勇者「あなたは脅威を回避する事を求めています。脅威を避けるために不安を作り出し、パニックになっています。」
僧侶「脅威を避ける、、?なんのことです?」
勇者「不安とは警告です。パニックはその警告の最大級のものと考えてください。あなたがパニック症状に悩まされるようになるよりもずっと前から、あなたの無意識は、あなたの抱える問題・ストレスに対して、不安や恐怖といった感情を作り出したり、やる気や集中力の低下をもたらす精神的な警告や、めまい、胃腸の不調、皮膚炎、腰痛、肩こりなどの肉体的な警告を何度も発してきたはずです。」
僧侶「、、、思い当たる節はあります。」
勇者「あなたはそれらの警告を無視し続けてきた。変わろうとしなかった。だから、無意識はあなたの事を想い、力技に出ることにしました。無理やりあなたをねじ伏せ、忠告しています、"変わりなさい"と。その警告は、正常な動作であり、その警告を守る事でしか、真の克服はあり得ません。」
[攻略の手引き]
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