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第24章 めがみ の たーん

人は学習する生き物である。見聞きし経験したことから、その傾向を分析し、対策をパターン化していく。このパターン化が災いして、なんでもない事象が恐怖の対象となることがある。

勇者「あなたは、人が多い場所へ行くと、パニック症状がでると、おっしゃっていましたよね。本来、あなたはその場所に何も恐怖を感じる必要が無いにもかかわらず。」

僧侶「えぇ。予期不安や広場恐怖と言われる症状ですよね。それも、"学習"によるなのですね。

勇者「その通りです。あなたは、パニックになったというたった一度の強烈な経験から、脳の危機対策マニュアルにこう書き込んだのでしょう、"パニックの起きて欲しくない場所では、パニックになる前に逃げろ"と。」

僧侶「はい。」

勇者「さらには、そのマニュアルのせいで人が多い場所でパニックになった追加経験をすれば、"人が多い場所では、パニックになるから、逃げろ"と、より確定的な表現で対策が書き込まれてしまうのです。

僧侶「よくわかりました。私の頭には、石碑に刻まれた古代の王の名のごとく、負の対策が深くきざまれてしまっている事でしょう。どのようにすれば書き直す事ができるのですか。」

勇者「例えば、さきほどのカウントダウンの話で言えば、カウントがゼロになるたびに、好きな女の子にキスしてもらったとしましょう。

僧侶「はははっ。それは良いですね。」

勇者「このような体験を何度か、あるいは、強烈なものであれば一度でも体験をすれば、あなたは、カウントダウンを恐れなくなる可能性があります。むしろカウントダウンをポジティブなものとして、書き直される可能すらあります。

僧侶「まあ、そうかもしれませんが、そんな都合よく恋の女神は現れませんけどね。」

勇者「ははっ、いや、その通りです。現実がそんなにイージーモードなら、苦労はしませんよね。だから、我々は強くイメージすることで代替しましょう。

僧侶「イメージで代替?妄想するということですか?」

勇者「はい。」

僧侶「うーん、妄想なんかで、脳が書き直されるものなんですか?」

僧侶「イメージするという行為は、脳に多大な影響を与えます。たとえば、あなたの頭でぐるぐる繰り返し出てくる不安要素、実際に発生したものですか?」

僧侶「いえ、発生していないことが、ほとんどですね。」

勇者「妄想することで、良くも悪くも、頭の中の対策マニュアルはどんどん書き直されていくのです。」

僧侶「妄想なら得意な気がします!」

勇者「もちろんこれにもコツがあります。このコツは魔法を覚える時のコツによく似ています。ですから、あなたはきっと頭の中の対策を書き直すスキルを習得できると信じています。

僧侶「魔法を覚える時のコツ、、」

[攻略の手引き]

◯もうそう 習得レベル2 まほうつかい、他
・・・妄想することで頭の中の対策マニュアルを書き直すことができる。

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