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第12章:おどりこ の たーん

人の悩みは全て対人関係、承認欲求を捨てることが幸せへの道だと勇者は言った。

僧侶「今日は新しい考えばかりで、もう今更何も驚きはしません。今度は、"承認欲求を捨てる"、ですか。そういえば先程、他人にどう思われようと、気にする事ではないとおっしゃっていましたが、このことですね。」

勇者「その通りです。」

僧侶「たしかに、振り返ると自分を苦しめている大部分は、承認欲求が満たされない事が根幹にあると思います。そもそも承認欲求とは、なんのためにあるのでしょうか。」

勇者「社会を構成する生物が、生き残り繁栄していく上では効果的なスキルであったのでしょう。」

僧侶「と、いいますと?」

勇者「我々人類は、個人では到底できない難題も、集団で分担して対応する事で、成し遂げてきました。戦士がいて、僧侶がいて、魔法使いがいて、助け合うことで、という感じですね。」

僧侶「そうですね。その時、なぜ承認欲求が重要なスキルになるのですか?」

勇者「このように分業が進んだ時、自身の能力役割が誰にも求められなかったらどうなるでしょう。」

僧侶「なるほど。パーティすら組めず、生きていけないですね。踊り子とか、一人ではどうしようもないですもんね。一人でも、なんとかなる職業は攻守バランスのとれた勇者くらいでしょうか。」

勇者「そう。生きるためには、周りからどう見られるか、どうすれば認められるかという事を敏感に感じとるスキルが役にたったのでしょう。」

僧侶「そうなると、その重要なスキルを捨てるという事になってしまうんですよね。やっばりまずいのでは。」

勇者「いいえ、そうでもないのです。承認欲求というのは、、例えば、、ダイエットにおいての食事制限のようなものです。」

僧侶「?」

勇者「ダイエットという目的に置いて、食事制限という手段は役に立つことがあるでしょう、ですが、長期的にみれば健康を失うリスクがありますね。」

僧侶「ああ、つまり、生きるという目的のために承認欲求を満たそうとする習性は役に立つことがあるが、心の健康を失うリスクがある、とおっしゃりたいのですね。」

勇者「そして、もう一つ伝えておきたい事として、ダイエットという目的のためであれば、健康を維持向上しつつ、もっと有効な他の手段が存在するという事です。」

僧侶「なるほど、、つまり、生きるためには、承認欲求を駆使するよりも、他にもっと有効な手段があると。」

勇者「そう、あなたは、沢山の人の視線を意識して、人から悪く見られまいと死角に逃げ込もうとし、てつのよろい、てつのかぶと、てつのたてを、十重二十重に着込み、防御力を高めているようで、実はただ鉄格子にとしごめられているのと同じで、呼吸すら苦しくなっているのです。

僧侶「なんと不自由なんでしょう。」

勇者「そう、その通りです。承認欲求とは、不自由な鎧であり、それを捨てるとは、自由を手に入れる闘争なのです。

[攻略の手引き]

□ふじゆうなよろい そうび
・・・承認欲求を高める鎧。人の目線を気にしすぎ身動きができなくなる呪われた鎧。

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