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第19章 おうじ の たーん

闘争逃走反応の仕組み
1.盗賊が家に迫ってきているのを見張りが発見。当主に報告。
2.当主は危機対策マニュアルを確認。対策を決定。
3.当主より、全ての召使いに緊急事態を伝達。
4.召使いは、通常業務はやめ、緊急体制に移る。

勇者はメモを見せながら、説明を始めた。

1.盗賊が家に迫ってきているのを見張りが発見。当主に報告。

勇者「この盗賊は、脅威を意味しています。あなたという名の家に、まさに侵入しようとしている状況ですね。」

僧侶「ふむ。ここでいう見張りや当主というのは、、」

勇者「見張りは五感、ですね。今回は盗賊を目撃した目が見張りです。もし、くさい匂いを感知したなら鼻、切り裂くような雄叫びが聞こえたなら耳、腐ったような味なら舌、暑さ、寒さ、痛みなら肌が、見張りになるでしょう。」

僧侶「なるほど、その見張りが報告する先が当主であるなら、当主は脳、、、ですね?」

勇者「その通りです。つまり、五感が脅威を感知して、脳がそれを認識した、ということですね。」

2.当主は危機対策マニュアルを確認。対策を決定。

僧侶「こちらはどういう事でしょうか。」

勇者「人の脳は非常に優れた機能を持っています。新たに感知した脅威について、過去経験あるいは学習した脅威から似た事例を特定し、その後のリスクを計算し、どう対応すべきかを瞬時に引き出します。

僧侶「マニュアルにはどんな事が書かれているのでしょうか。」

3.当主より、全ての召使いに緊急事態を伝達。

勇者「こちらの3つ目の記述内容と合わせた方がわかりやすいかもしれませんが、例えば、脅威が迫ってきたら、心臓に血圧をあげろ!とか、汗をかけ!とかですね。そういった指示が書いてあるイメージです。」

僧侶「ふと疑問に思ったのですが、それらって自分ではコントロールできないですよね。」

勇者「そうですね。普通は、発汗や脈拍、体温調節や代謝、内臓の活動などは、基本的に意識してコントロールはできません。これらを24時間調整しているのが"自律神経"です。

僧侶「自律神経、、難しそうな単語がでてくると、自然と拒否感がでてしまいます。これも自律神経によるものですかね(笑)」

勇者「はははっ、症状によってはそうかもしれませんよ。でも、ついてきてくださいね。自律神経には、交感神経と副交感神経があります。この2つを使って脳が全身に指示するわけですが、かんたんに言うと、交感神経は"ガンガンいこうぜ"、副交感神経は"落ち着こうぜ"という指示を伝える神経です。」

僧侶「なるほど、それは聴きなれているので、私にはわかりやすいです。」

4.召使いは、通常業務はやめ、緊急体制に移る。

勇者「そのように、自律神経から作戦指示がくると、全身がその指示を最優先して対応するため、さまざまな症状が身体にでることになります。」

僧侶「最後のこれなんですけど、、ここが一番わからないんです。多分この緊急体制というのが、パニックの症状などですよね?」

勇者「そうですね。」

僧侶「なんで、そんな症状をだす必要があるのですか。もちろん緊急体制にならないといけないのはわかりますよ。ただ、ドキドキしたり不安感で不快になったり、なんのためになるんですか。」

勇者「それこそ、闘争や逃走に必要だからですよ。それについて、ご説明しますね。」

[攻略の手引き]

◯じりつしんけい 習得レベル1 みんな
・・・発汗や脈拍、体温調節や代謝、内臓の活動などの、通常意識しない体内の活動をコントロールする

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