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第06章:せんし の たーん

メンタル症状は治すものではなく見直すもの。僧侶はこの言葉を頭の中で反芻した。そして、少しだけ、希望を感じ始めていた。

僧侶「自分に何が起きているか、少し理解できてきた気もしますが、頭の中がごちゃごちゃしてきてしまいました。」

勇者「心の症状は目に見えないので、理解するのが難しいですよね。見える例えにしてみるとわかりやすいですよ。例えば、とある戦士を想像してみてください。そして、、」

そう言うと、勇者はメモに書き出した。

◆不安障害の仕組み
①モンスターから攻撃されダメージを受ける。
②回復を試みる。
③回復量<ダメージが続き、HPがなくなり気絶。
④気絶した経験へ強い恐怖を感じる。その恐怖心が実体を持ちモンスターとなって出現。ダメージが増量。

僧侶「これは、、なるほど。この④が、先程教えていただいた恐怖に恐怖する状態を示しているのですね。ここまで至ると、気絶を繰り返しそうですね。」

勇者「そうです。ここまで至ってしまうとそれまでの回復力では間に合わないんです。そうすると③から④の負のループに陥る。心がこのループに陥った状態こそが不安障害と言われる状態でしょう。

僧侶「わかります。」

勇者「一つ一つ心の症状に当てはめて、理解を深めながら対策を挙げていきましょう。」

①モンスターから攻撃されダメージを受ける。

勇者「心の世界で言えば、いわばストレスにさらされている状態ですね。ストレスは千差万別。強いモンスターから弱いモンスター、大量に湧いて襲ってくるモンスターもいるでしょう。」

僧侶「仕事についてから、いろいろなモンスターに会う頻度が一気に増えました、、、あ、ここでいうモンスターはストレスの意味です、、」

勇者「あと、受けるダメージは、モンスターの攻撃力、自身の防御力回避力に依存しますね。対策は、モンスターに会わない、モンスターの攻撃力を下げる、自身の防御力、回避力を上げるなどがありそうですね。これらは後ほど。」

②回復を試みる。

勇者「次に回復ですが、回復方法は様々あります。体の問題なら睡眠、食事、薬草などでしょうか。心も多くの部分で共通しています。対策として、より多く、効果のある回復手段を用意しておくのが良いでしょう。」

③回復量<ダメージが続き、HPがなくなり気絶。

勇者「どれくらい耐えられるかは体力、HP(ヒットポイント)次第。心の場合は、耐力、HP(ハートポイント)とでもしましょう。」

僧侶「HPがなくなると、どうなるのでしょうか。」

勇者「ここではパニック症状がでる事とします。HPが無くなっていく過程で、心身に様々な症状が現れます。先程お話しした警告ですね。胃痛、動悸、失神、下痢、便秘、めまい、腰痛、過呼吸、様々です。身体の中では、脅威を感じた時に出る神経伝達物質がこれらの症状を発症させている事があります。このあたりも後ほど詳しく説明します。」

④気絶した経験へ強い恐怖を感じる。その恐怖心が実体を持ちモンスターとなって出現。ダメージが増量。

勇者 「最後の項目、ここは前にお話ししているので理解されている事でしょう。実は多くの不安障害の人は、身体に不調をもたらした最初の原因(ストレス)よりも、それによって起こった心身の不調がまたおこるのではないかと恐怖する事によって不安障害になっているのです。」

僧侶「ありがとうございます。なぜ自分がこの苦しい状態に至ってしまったのか、少し理解が深まった気がします。」

[攻略の手引き]

◆不安障害の仕組み
①モンスターから攻撃されダメージを受ける。
②回復を試みる。
③回復量<ダメージが続き、HPがなくなり気絶。
④気絶した経験へ強い恐怖を感じる。その恐怖心が実体を持ちモンスターとなって出現。ダメージが増量。

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