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第14章:むらびとA の たーん

他者の気持ちなどわかるわけがない、だから他者の課題で悩むべきではないと勇者は言った。勇者の伝え方が悪く、あわや大惨事となるところだったが、結果、2人の仲は近づいたように見えた。仕切り直しに僧侶は話し始めた。

僧侶「他者の課題はどうしようもない、だから、それで悩むな。おっしゃることはよく理解できます。」

勇者「はい。"でも、、"と言いたそうな口ぶりですね。」

僧侶「ええ、私は、幸せになりたいといいました。そのために不幸せの要因が減れば良いと考えています。できるかどうかは別として、勇者様のおっしゃる他者の課題は気にしないという方法は効果があるかもしれません。でも、それはまるで、くさいものに蓋をするというか、直視すべき課題から逃げ、誤魔化して生きているように感じてならないのです。」

勇者「なるほど。直視すべき課題、そうおっしゃいましたね。では、本当にその課題はそこにあるのでしょうか。」

僧侶「本当に、、、あるか?」

勇者「そう。世の中はシンプルです。にもかかわらず、そこに、あるかどうかもわからない他者の課題を見てしまい、あなたの世界は複雑怪奇になり、めまいを引き起こしてしまっているのではないでしょうか。」

僧侶「見えもしないものを見てしまっている、、、そうかもしれません。いえ、きっとその通りなのでしょう。確かに、私は不確実な何かに苦しんできていました。でも、多くの場合、それは杞憂でした。だから、”そんなものはもう見るのをやめよう”、そういうことですね?」

勇者「はい。」

僧侶「でも、果たして、それで本当に幸せになれるのでしょうか。マイナスを見ないというだけでプラスにはなっていないと思うのです。むしろ、相手がどう思うかを気にせず生きれば、相手に嫌われ、パーティーから弾かれ、結果、幸せを得られないのではないでしょうか。」

勇者「相手がどう思うか、パーティーがどう思うか、そこはどんなにあなたが努力してもあなたの思い通りにはなりません。先程例を示した通りです。他者の評価をあなたの幸せの基準にいれているうちは本当の幸せを得ることはできません。」

僧侶「では、私は何を基準に幸せを感じれば良いのでしょうか。幸せとは何だとお考えなのでしょうか?教えてください。」

勇者「まず、幸せとは、あなた自身が自身の存在価値見出せている状態で、ここに存在していてもいいんだと感じられている状態だと考えます。」

僧侶「存在価値、、、」

勇者「そう、あなたは生きていく上で大小様々なパーティに所属していく事になります。仕事のパーティもそうでしょう、ギルド、家族、村、広くは世界に至るまで。その中で、小さなパーティの小さな問題に苦しみ、自分の存在価値を見誤ることもあるでしょう。その時はより大きなパーティの声を聞こうとしてみてください。自分はここにいてもいいのかと。」

僧侶「うーん、私が色々なパーティに所属しているのはわかります。でも、どうしたら自身の存在価値を見いだせるのかがわかりません。ましてや、大きなパーティになればなおさらです。私なんか吐いて捨てるほどいる村人Aに過ぎない、その程度しか思えないのです。どうすれば、自身がここにいても良いと感じることができるのでしょうか。」

勇者「それは、あなた自身が、パーティに対して、他者に対して”貢献している”と感じられることです。そうすれば、あなたは、所属するパーティにいても良いと感じることができます。」

僧侶「他者への?ちょっとお待ちください。先ほどまでそれを否定していらっしゃいませんでしたでしょうか!?」

[攻略の手引き]

□げんわくのめがね そうび
・・・装着者自身が勝手に想像した”他者の考え”が見えてしまうめがね。惑わされ精神的なダメージを受けることがある。

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