見出し画像

第16章:やどやのあるじ の たーん

変えられないものを受け入れ、変えられるものを変える勇気を身につけること、僧侶はその言葉を反芻しながら、自分も変われるかもしれない、そんな高揚感に包まれていた。

僧侶「勇者さま、こんな夜更けまで本当にありがとうございました。昨日まで、いえ、数時間前までの自分は絶望感でいっぱいでした。でも、何か変われるような気がしてきました。」

勇者「それは良かったです。これで防御力、回避力は一段レベルがあがりましたね。残りは日を改めましょうか。」

僧侶「えっ?」

勇者「あれ、お忘れですか?」

勇者は僧侶の手元にあるメモを指差した。

◆不安障害の仕組み
①モンスターから攻撃されダメージを受ける。
②回復を試みる。
③回復量<ダメージが続き、HPがなくなり気絶。
④気絶した経験へ強い恐怖を感じる。その恐怖心が実体を持ちモンスターとなって出現。ダメージが増量。

僧侶「あ、、」

勇者「そうです。これまでのお話は、このメモの①のモンスターからの攻撃への対策でした。まだ、終わりではありません。」

僧侶「えぇ、とても充実感があったため、これで対策終わりと勘違いしてしまいました。」

勇者「一度、今日お話しした内容をセーブするといいでしょう。ただし、あなたはまだ深く傷ついた状態です、また、恐怖という名のゴーストにもつきまとわれています。宿屋で一晩泊まれば全快というほど、甘くはありません。」

僧侶「そうですね。では、後日改めてお願いできますでしょうか。次はいつ会うことができますでしょうか。」

勇者「では、明日この時間でいかがですか。」

僧侶「ありがとうございます、すぐにでも続きをお聞きしたかったので助かります。」

勇者「では。」

勇者達は席をたち、会計に向かった。勇者はお釣りを会計横の募金箱に入れた。僧侶もまねしておつりを募金箱に入れてみた。

たしかに悪くない気分だった。

[攻略の手引き]

ぼうけんのしょ1
・他人を変えようと思ってはいけない、変えるべきは自分自身。
・あなたが変われないのは、あなた自身が変わるものかと決意しているから。
・人は原因に基づき行動しているのではない、目的に基づき行動している。
・全ての悩みは人間関係。承認欲求を捨てるべし。
・他人がどう思うかは、他者の課題。あなたにどうしようもないこと。幸せの基準に他者の課題を入れているうちは幸せになるのは無理。
・幸せとは、自身の存在価値を感じること。そのために他者貢献をしよう。小さなパーティーで叶わないなら、より大きなパーティーで叶えよう。
・自己受容をする。これからどうするかを考える。変えられないものを受け入れ、変えられるものを変える勇気を持つ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?