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第08章:まものつかい の たーん

どんな生き方をしていても、ストレス要因との遭遇を回避するのは難しい。ではどうするべきか。

陽が落ち、あたりはすっかり暗くなり、ランタンに火が灯った。僧侶にはその光がなぜかいつもより輝いて見えた。

勇者「さて、モンスターとエンカウントしてしまったとして、ダメージを抑えるにはどんな方法が思いつきますか。」

僧侶「先ほどおっしゃっていたように、自身の防御力や回避力を上げるのが良い気がしますね。あ、攻撃される前に倒してしまうのも一つでしょうか。あと、、攻撃力を下げるという案もおっしゃっていた気がします。」

勇者「ありがとうございます。選択肢としてはそのくらいでしょう。大きく分けると"相手を変える"のか、それとも、"自分が変わる"のかの2つがありますね。ではまず前者からお話しましょうか。"攻撃される前に倒してしまう"とは、具体的にはどんな方法がありますか。」

僧侶「モンスター、つまりストレス要因を倒すという事なので、、嫌いな先輩がストレス要因ならその先輩を即死魔法で黙らせるとか。」

勇者「ははっ、ずいぶん物騒な方法ですね。」

僧侶「回復魔法はまだまだ未熟なのですが、即死魔法は得意なんです。」

勇者「、、、あなたを怒らせるのはやめておいた方がよさそうですね。では、実行できそうでしょうか?」

僧侶「うーん、、物理的には可能ですが、、難しいですね。倫理的、社会的に認められるものではありませんし、デメリットが大きいですね。」

勇者「はい。」

僧侶「あと、中途半端に攻撃しようものなら報復されるのも怖くて。。リスクが高すぎます。」

勇者「たしかに、そもそも攻撃的な手段は推奨できるものではありませんが、それを成功させようにも、高い攻撃力や、反撃の余地を与えないよう会心の一撃を叩き込む運の良さも必要でしょう。また、反撃に備えるならば充分な防御力も必要になります。もし、あなたがそんな高いステータスを身につけたとしたら、そもそもモンスター側が逃げ出している事でしょう。

僧侶「なるほど。では、逆に、攻撃するのではなく、ヨイショしたりして、相手を気持ち良くさせて攻撃を弱めてもらうのはどうでしょうか。平和的で良い気がしますが。」

勇者「その作戦が一時的には功を奏する事もあるかもしれません。ですが、ここで1つ結論を申し上げると、あなたは他人の気持ちを変えようと行動すべきではありません。そもそも、他人にどう思われようとあなたが気にすることではないのです。」

僧侶「そんな、、なんだか自分勝手な感じもしますが。」

勇者「他人の気持ちを変えようとする行動とは、あなたに都合の良くなるよう見返りを求める行為です。それこそ自分勝手な考えだと思いませんか。」

僧侶「それは、、、そうかもしれません。でも、気にするなと言っても気になりますよ。怒られるのは嫌ですし、褒められれば嬉しいですし。」

勇者「おっしゃる気持ちはよくわかります。初めは私も"他人にどう思われても気にしない"などという考えはただの理想論だと思っていました。でも、あなたは今日からでもこの考えを身につけられます。もし、この考えを身につけられれば、あなたはあらゆるストレスに耐えられる強靭な防御力と回避力を手に入れる事でしょう。」

僧侶「わかりました。お聞かせください。」

[攻略の手引き]

◯あやつる 習得レベル24 まものつかい
・・・相手を操り、一時的に仲間にする。成功率は低い。

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