第10章:まどうし の ターン
人の行動は原因ではなく、目的に基づいている。自分自身で納得していないと思っていた行動ですら、自身が目的に基づき選択している結果だという。そして、自分では嫌いで嫌いで変わりたいと思っている行動ですら、自ら変わるものかと強い決意をしているのだと勇者は言う。
僧侶「私は、なぜ、変わるものかと決意する必要があるのでしょうか。自覚がなく、、、」
勇者「例えば、性格に限らず、”変わろうと思っても、変われない。挑戦しようと思っても続かない。” という経験は、ほとんどの人が思い当たるのではないでしょうか。」
僧侶「、、そうですね。魔法の練習、槍術、レベル上げ、、、したほうがいいけど、努力が続かないというか、今回こそはやってやるぞと燃えても、三日坊主でやめてしまったりします。」
勇者「変化できない、挑戦が続かない一つの理由は、そのための努力や負担が重く、メリットデメリットで評価して価値がないと思っているからでしょう。」
僧侶「うーん、それはあります。でも、性格を直すという点についていえば、人は明日にでもなりたい自分になれるというのが勇者様の考えですよね。例えば明るい性格になりたいと思った場合、明日にはなれる訳ですよね。努力や負担が必要ではないとおっしゃっていると思うんです。私は何をデメリットと感じているのでしょうか。」
勇者「ところで、あなたはどんな性格になりたいですか?あるいは、直したいところとか。」
僧侶「まあ、先程ご指摘いただきいたようにネガティブなところですかね。いろいろ悪くなる未来を考えてしまいがちで。もっと楽観的になって、堂々と落ち着いき、そんな幸せな生活を送っていきたいですね。」
勇者「なるほど。もしかしたら、あなたは、ネガティブを脱却し、楽観的になることに対し、リスクを感じているのかもしれません。」
僧侶「リスクですか?」
勇者「ネガティブな性格というのは、ある意味強い危機管理ができているともいえます。魔物がはびこるこの世界では、生きていく上で重要なスキルであり、あなたはそれを放棄し楽観的になるのはリスクと感じている可能性があります。」
僧侶「、、なるほど。」
勇者「このように、それぞれの性格には、良い面と悪い面の両面があるものです。例えば、堂々とした性格は横暴にもなりえますし、テキパキした性格はせっかち、行動力があるのは無鉄砲。といった具合に。逆に良い面が一つもなければ、あなたがその性格を維持するわけがないのです。あなたはあなた自身が幸せになる目的で取捨選択をして今の性格を選んでいるはずです。」
僧侶「でも、私は、毎日襲ってくる不安が苦しくて苦しくて仕方がありません。その大元はこの性格にあると思っています。私はやっぱり変わるメリットの方が大きいと思うのですが。」
勇者「はい。変わらない決意をしているのは、もう一つ目的があります。こちらは少し残酷な宣告となります。」
僧侶「残酷?」
勇者「あなたは、楽観的になれば幸せになれるといいました。本当にそうでしょうか。明るくなり、堂々と行動力がつけば、また、魔法や槍術を鍛え続ければ、友人が増え、周りから尊敬され、慕われ、地位や名誉が手に入り、幸せになれる、本当にそうでしょうか。変化挑戦をしたにもかかわらず、幸せになれなかったらあなたは立ち直れないほど傷つくことになるかもしれません。」
僧侶「、、、」
勇者「"私だって本気をだせば、、、"このように残された希望にすがる事で人を生きていけるのです。あなたは、自分の価値に希望を残す目的で、言い訳をしてずっと変わらずに生きてきたのではありませんか。」
僧侶「なるほど、、、たしかに残酷な宣告です。」
[攻略の手引き]
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