第01章:そうりょ の たーん
ある秋の昼下がり、見習い僧侶は城下町の酒場を訪れた。彼にとって、この訪問は決して容易なものではなかった。
しかし、彼にはどうしても会わなければならない人物がいた。その人物は、ゆったりとソファに腰掛けメニューを眺めていた。
僧侶「あ、あの、あなたが勇者さまですか?」
勇者「はい。あなたが僧侶さんですね。初めまして。」
勇者は笑顔で軽く会釈をすると、僧侶にも座るよう促した。
僧侶「は、初めまして。本日はお時間をいただきありがとうございます。勇者さまの事は教会から紹介いただきました。お忙しいところ、本当に申し訳ございません。」
勇者「いえいえ、これも勇者としての立派な務めです。何か飲み物でもいかがですか。」
僧侶「ありがとうございます。それでは、、お茶をいただきま、、す。」
僧侶の緊張はピークに達していた。動悸が激しくなり、なんとか落ち着かなければと焦っていた。この症状こそ、彼が勇者に会いにきた理由だった。
勇者「緊張しているようですね。私も同じ苦しみを経験してきましたからよくわかりますよ。ひとつ、おまじないをしてみましょうか。」
僧侶「、、おまじない、、ですか?」
勇者「まずは、深呼吸をしましょう。3秒吸って、6秒吐く。鼻で吸って、口で吐く、腹式呼吸で。さぁ、3秒吸ってー、6秒吐く。」
僧侶「スゥ、、、ハァ、、、、、、スゥ、、、」
勇者「次に、軽く目を閉じて、、あなたの中にある緊張感、ドキドキ、すごく嫌な感覚があると思います。それを体の中で、赤い雲のようなものだとイメージしてみてください。そして、あなたはそれを少し高いところから見下ろしている。できそうですか?」
僧侶「、、はい。」
勇者「赤い雲は、体の中、どの辺りにあるイメージをしていますか?」
僧侶「えっと、、、上半身、、特に胸から頭にかけて、ぼやっと広がってる感じですかね。」
勇者「その赤い雲を、頭か胸のどちらかに集めてください。圧力をかけるようなイメージで。風船のようにパンパンになるように。」
僧侶「、、、、頭に集めました。」
勇者「それでは、耳の後ろあたりに小さな穴が空いたイメージをして、赤い雲を思いっきり、中から外に噴き出してください。ピューっと!」
僧侶「、、、ふぅ、、、。」
勇者「いかがですか?」
僧侶「不思議です。。なんか少し楽になった気がします。」
勇者「良かった。おまじないが効きましたね。」
[攻略の手引き]
◯しんこきゅう 習得レベル1 ぶどうか
・・・3秒吸って6秒吐く。腹式呼吸が良い。特に息を吐く事を意識。息を吐くと副交感神経が優位になり、落ち着く効果あり。
◯おまじない 習得レベル2 そうりょ
・・・不安感、緊張感を赤い雲に見立て、それを追い出す事をイメージし、嫌な気分を散らす。個人にしっくりくるイメージを見つけると良い。
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