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第09章:あそびにん の たーん

"相手を変えようとしてはならない。変えるべきは自分自身。" 僧侶はそれが正しいだろうと直感するも、どこか違和感が拭いされずにいた。それは、勇者の"他人にどう思われようが気にする必要がない"という言葉のせいであること明らかだった。

僧侶「相手からどう思われても気にしなくなるには、どうすればいいのでしょうか。なれるものならなりたいです。あそびにんを見るたび、あんなに気楽に生きられたら、どんなに良いかと。ただ、正直こればかりは、生まれもった性格というか、変えるのは難しいのでは、というのが本音です。」

勇者「いえ、あなたは変われます。ただ、あなたは変わるのを拒否しているのです。変わるものかと心に決意しているのです。」

僧侶「拒否?決意?私がですか?いえいえ!そんなことはありません!変われるものなら変わりたいです!」

勇者「では、なぜ変わらないのですか?」

僧侶「そう言われると、、何かしら原因があるのです、その生まれ持った、なんというか、、」

勇者「変わらないのは原因があるからではありません、変わらない目的があるはずです。」

僧侶「原因でなく目的?」

勇者「そうです。ところで、大賢者アドラーをご存知でしょうか?」

僧侶「いえ、どなたですか?」

勇者「異世界の賢人です。さとりのしょにも彼の考えが記されています。今の私の人生感のようなものは、彼に強く影響を強く受けています。そんな彼の理論のひとつが、"人の行動は、原因ではなく、目的に基づいている"というものです。」

僧侶「うーん、原因でなく目的、、意地悪な質問してもよいですか?」

勇者「どうぞ。」

僧侶「人の行動が原因でなく目的に基づいている、と、おっしゃりましたが、勇者様が、今、”私に話をするという行動”は、私がお願いしたという原因があるからではないでしょうか?」

勇者「いえ、私がとる行動は、私の中の目的に基づいています。私は、あなたに話かけられたとしても、無視することもできれば、議論をする事もできます。その行動の自由は私自身にあります。そのいくつもの選択肢の中で、私は議論を楽しみたいという目的に基づき話しているのです。」

僧侶「では、、では、例えばもっと、強制的に発生する行動、、、憤り怒るなどの抑えがたい感情的な行動はどうでしょうか。これらは原因に基づくとしか思えません。」

勇者「いえ、怒るという感情や行動も同じです。例えば、この議論の末、あなたは納得がいかず、私に怒りをぶつけてきたとすれば、そこにはなんとか自分の主張を認めさせたいといった目的があり、それを達成させるために怒りという感情を作り出し威嚇しているにすぎないのです。」

僧侶はしばらく沈黙した。

僧侶「目的、、仮にそうだとして、、、それでは、私が性格を変えまいと強く決意するのはなんの目的があるというのでしょうか。」

[攻略の手引き]

◯てんしょく 習得レベル20 あそびにん
・・・人はすぐにでも変われる。変われないのは、変わるものかと決意しているため。

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