見出し画像

American Classics!(2019/8/23)

画像1

『American Classics!』に伺いました。(2019/8/23@スタインウェイサロン東京 松尾ホール)

クラリネット奏者のアレッサンドロ・ベヴェラリ(Alessandro Beverari)さんはイタリア出身で、2017年に東京フィルの主席クラリネット奏者に就任。先日開催された2019年チャイコフスキー国際コンクールの木管部門で第3位を受賞されました。
星野紗月さんはパリ在住のピアニストで、東京音楽大学を卒業、パリ国立高等音楽院ピアノ即興科に首席で合格し研鑽を積んでいます。あらゆる音楽の手法を駆使した即興演奏で音楽のさらなる可能性を探求し、その活動の様子がNHKでも報道されました。

松尾ホール(スタインウェイサロン/松尾楽器商会)は、日比谷・有楽町・銀座駅が最寄りで東京ミッドタウン日比谷の隣のビル地下という抜群のアクセスで、88席の落ち着いた内装のサロンホールです。

今回のリサイタルは20世紀のアメリカ音楽を中心に即興演奏を織り交ぜるという意欲的なプログラムでした。冒頭はアルゼンチンの作曲家グアスタビーノの「クラリネットとピアノのためのソナタ」。アレッサンドロさんのクラリネットは艷やかでよく歌います。特にピアニッシモの美しさが際立つ表現力の大きな演奏でした。星野さんもクリアで立ち上がりのよい美しいピアノで素晴らしいデュオでした。曲間には二人のトークがあり楽曲の背景を理解しながら聴くことができました。
2曲目は「ラフマニノフの主題による即興アレンジ」。ラフマニノフの「交響曲第2番」と「パガニーニの主題による変奏曲」の美しいメロディーが組み合わされ、その深いハーモニーに魅了されました。前半最後はバーンスタインの「クラリネットとピアノのためのソナタ」でした。5連符や7連符の複雑なリズムが交錯する曲が二人の冴え渡るテクニックで見事に表現されました。

休憩を挟んで、イタリアの作曲家ピエラヌンツィによる「Elisions du Jour」がとても詩的な音楽が流れました。星野さんのピアノソロによる即興演奏では、客席の聴衆からキーワードを募集し、「アラビアン・ナイト」「滝の絵」「ショパンの革命」「夏休み」「サマータイム」などが挙がりました。星野さん曰く「作曲と演奏を同時に行うようなもの」というその即興演奏は、あくまでも自然な音楽となり聴衆は見事な演奏に惹き込まれていました。

「ガーシュインの主題による即興アレンジ」が耳馴染みのある叙情的なメロディーで繰り広げられたあと、クラリネットとピアノによる即興演奏がありました。こちらも聴衆から「トスカ」「銀座」「天国と地獄」などのキーワードが挙げられましたが、驚くほどの弱奏やリズムが繰り広げられ非常に素晴らしい演奏でした。

プログラム最後はキューバの作曲家デリベラの「ベネズエラ風ワルツとコントラダンツァ」が情熱的に演奏されました。アンコールにはピアソラの「リベルタンゴ」と、予定にはなかったという即興演奏で締めくくられ、満席の聴衆から熱狂的な拍手が続きました。

皆さんもぜひコンパスを使ってコンサートをお楽しみください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?