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note de 小説「時間旅行者レポート」その12


ん?



んん・・・

ボクは目覚めた。

「ここは・・・
どこだここは。」


ひづめの音?
馬の・・・

馬のいななく声。

なにやら
動物たちの声が
外から漏れ聞こえてくる。


「ここは・・・
どこだ?」


夢うつつが
じょじょに
現実へと変わりつつある。

やがて
意識がはっきりしてきた。
意識のモヤが取れてきた。


そうだ。
ボクは・・・

ここは・・・


来たのか?
成功か?

ゴーグルに表示された
言葉を目で追った。

WIE IST ES DAMIT?
(そちらはどう?)

という表示が冒頭に並んでいる。

現実から目覚めたボクは
これがどこの時代の
どこにいるのか
理解していない。

ここはどうやら
物置のようだ。

上に通じる階段がある。
これは地下の物置だと
は理解した。

とりあえず
ゴーグルに付いている
通話機器で連絡を
こころみた。

「Es Ist Sicher・・」
(ボクは無事です)



すると
大歓声が受話器の後ろから
聞こえてきた。


そこにハーバー博士が
通話に出た。


「気分はどうかね
Dr.オリバー


おめでとう!

そして何より
ありがとう!!

大成功だよ。

我々は有人時間旅行に
成功したのだから。

これは偉大なる
人類の第一歩だ。

歓喜だ!

めでたい!

改めて君の勇気に
礼を言う。



わかるかい?
ここ22世紀では
みんなが抱き合って
涙している。


本当に
ありがとう
人類の至宝
Dr.オリバーよ」


ボクは応えた。

「まだ・・
ボクはここがどこなのか
わかっていないんですが・・

ちゃんと
時空を越えたんですか?

もしそうなのだとしたら
こうして時空をたがえても
話が出来ることそれ自体
すごい・・・」

と、とんちんかんな
返答をしてみた。

「ふふふ。

約100年前。

地上と宇宙空間との間で
会話ができたときにも
同じことが言われたものだ。

ここはさらに
100年の時間が経っている。

時空を越えても
通話は出来る。

これから
もっと便利になるぞ」


ーーーーーーーーーーーー


博士からまずは

指令通りに
パリ博に遊びに来ている
イギリスの小説家を
探すようにと言われた。


ボクはおそるおそる
地下物置から
外に出てみた。


裏通り。
見るとすべての
商店には
フランス語標記が
してある。


フランス語を必須科目に
しているためどうやら
言葉の壁は越えられそうだ。

裏通りから
表通りに出てみた。

「これは。
ホンモノだ・・

何ということだ!


1,900年の本当の
パリの7区だ。

自動車すらない
この時代。

すべての交通手段は
馬車だ。


馬車がだだっ広い
道を駆けていく。

すばらしい
石畳のシャンゼリゼ通り。



そこに闊歩する
シルクハットと
ステッキを持った
男たち。

重そうなドレスを
纏ったフランスの女性たち。


そして遠くにそびえ立つのは


エッフェル塔・・

まだ完成して間もない
フランスの技術力と
平和の象徴。

とてもきれいだった。




続きます。






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