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セメントセクターガイドラインリリース(1)

SBTiが鋭意開発中の、セクター別ガイドライン。
そのうち、注目されていた2つが、9月末に立て続けにリリースされました。

・FLAG(FOREST, LAND AND AGRICUTURE:林業、土地利用及び農業分野)
・セメント

このうち、FLAGは既に紹介しました。こちらを参照ください。

セメントについても、何回かに分けてシリーズでお届けします。

パイプラインにはこのようなセクター別SDAやガイドラインが上がっておりますが、「Shipping」を除いてはまだ、開発途上かそれ以前であり、リリースはまだ先の話のようです。

ウェビナー資料より

石油業界の方にとってはm「Oil & Gas」が待たれるところでしょう。
私は、Cross-sector Guidanceの「Beyond Value Chain Mitigatio」と「Scope3/Value Chain Alignment」に興味津々です。

COP27を経て、「BVCM」がますます注目を浴びるのでは無いでしょうか。


閑話休題、セメントのセクター別ガイドラインです。
リリースに併せて、ウェビナーが開催されましたので、その内容から簡単に紹介していきたいと思います。

さて、セメントセクターは、ガイドラインが無いからSBT目標を設定できなかったかというと、そうではありません。

今までも、「well-below 2℃」目標では設定することができました。
でも、ネットゼロを目指すには、1.5℃目標が必要不可欠であることが明らかとなり、Net-Zero Standardでは、スコープ1・2排出量については、1.5℃目標が必須となっています。

目標については、最低5年でも5年毎に見直し、必要があれば再計算、再審査を受けることが必須ですので、現在、「well-below 2℃」目標で認定を受けている企業は、次回の見直し時に、1.5℃目標に整合する必要があります。
(もちろん、これから申請する企業は1.5℃目標しか受付されません)

このSDAが提供するのは、次の3つです。

1.1.5℃収束軌道
2.詳細な目標設定ルール
3.短期及び長期目標

これで、ようやくセメントセクターの企業も、1.5℃目標に整合する目標設定ができるようになる訳です。

開発プロジェクトは2021年の10月に開始し、以下のアドバイザリーグループの元、推進され、Holcimがキーサポーターの役割を果たしたとのことです。

ウェビナー資料より

Holcimといえば、エジプト訪問時、カイロからアレクサンドリアへ向かう道すがら、馬鹿でかいサイロが並んでいるなぁ、と驚いていたら、「Holcim」と書いてあったのを思い出します。いや、実に、セメントの巨人です。


SDAでは、1.5℃目標達成のために必要な削減量を各セクターへ割り当てますが、その際、削減コストが最小となるような配分を目指します。つまり、排出量が多いセクター、脱炭素化手段の選択肢が多いセクター及びそのコストが安価なセクターに、より多くの削減量を割り当てることになります。

SBTiが、セメントのSDAの開発を急いだ理由は、ここにあります。
セメントセクターは巨大産業であり、CO2大量排出セクターですから。

ウェビナー資料より

黄色のラインがセメントセクターですが、発電部門に次いで排出量が多く、速やかに削減する必要があることが分かります。

なお、これはセメントセクターのパスウェイですが、コンクリート製造もガイダンスの対象となっています。

ということで、他の産業よりも、削減のプレッシャーが高いセメントセクター。SDAでは、どのようなガイダンスがされているのでしょうか。

次回から、具体的な内容に入っていきたいと思います。

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