FLAG向けガイドラインのリリース(3)
9月末にリリースされた、FLAG向けのガイドライン(SDA)の話をしています。
1回目では、何故注目しているのか、2回目では、FLAGが他のセクターと別立ての目標設定になっている理由について私なりの見解をご案内しました。
今回は、その目標設定の続きから。
FLAG目標設定に当たっては、以下の2つのアプローチが用意されています。
1.FLAGセクター・アプローチ:生産者及び提供者向け
林業、農業、畜産業、食品業
2.FLAGコモディティアプローチ:商品サプライヤー向け
26地域毎のコモディティ11種類
(牛肉、乳製品、豚肉、鶏肉、木材、米、大豆、パーム油、トウモロコ
シ、小麦、皮革)
SBTiは、目標設定に利用できるツールを用意しています。
ちなみに、公式サイトには、その他FAQや、ウェビナーなど様々なマテリアルが用意されていますので、ご活用下さい。
さて、算定対象毎に見ていきましょう。
土地管理(非LUC排出)からの排出(主にN2OとCH4、農場内の自動車や肥料生産に関連するCO2排出も含む)は、FLAG以外の一般的なセクターと考え方は同じなので省略するとして、土地利用変化(LUC)から。
ガイダンスには、こうあります。
基準年は、FLAGツールを使うと2015年まで遡れるそうです。また、2018年がFLAGセクターアプローチでデータが利用できる最初の年のため、基準年としてそれ以前の年を採用する企業については、外挿して求める必要があるみたいです。
いずれにせよ、SBTiとしては、現業を典型的に表している年、かつ継続性が担保される年を基準年として選択することを推奨しています。
さらに、SBTiでは、土地に関連するGHG排出量の算定に加えて、目標設定と検証のプロセスに、森林破壊を伴わないコミットメントを含めることを義務付けています。
森林破壊による排出量を削減することは、FLAGセクターにおける脱炭素アプローチにおける最優先事項なので、理解できますね。
ニューヨーク森林宣言や消費財フォーラム誓約など、何百もの企業が森林破壊を行わないという誓約に参加しているとのことで、SBTiとしても、FLAGにより収益を上げている企業にとって「当たり前」との認識なのでしょう。
ちなみに、「The Accountability Framework initiative(AFi)」というのは、浅学ながら知りませんでした。サイトには、このような説明がありました。
運営母体を見てみると、なるほど〜、というメンバーでした。
「AFiのガイダンスにコミットメントを合わせる」とあるのは、IPCCの土地利用変化の定義に、SBTiとして捨て置けない点があるからのようです。
例えば、自然林からプランテーションへの転換は、IPCCでは「土地利用変化(LUC)」に当たらず、いずれも「森林地(forestland)」と定義されるとか。
GHGプロトコルでは、この転換を「土地利用変化」の一形態と見なしており、これは、AFiのガイダンスに沿っているとのことです。つまり、目標設定に当たっては、LUCを厳しめに見ているAFiのガイダンスを参照して下さいということでしょう。
炭素吸収と蓄積(Carbon Removals and Strage)は、次回見ていきましょう。