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CDP2023質問書にプラスチック項目追加(2)

2023年からプラスチック関連の項目が追加となる、という話。
前回は、全事業者が回答する質問の話をしましたが、今回は、プラスチック製造事業者が回答すべき、追加の質問について見ていきます。

前回はこちら。

質問書によると、こうあります。

質問6:プラスチックポリマー製造のみ
質問7:プラスチック耐久財のみ
質問8:プラスチック包装材のみ
質問9:プラスチック包装材のみ

包装材のみ2つの質問に答える必要があるようです。

さて、質問6〜8は、全く同じものです。
分ける必要があるのか?とも思いましたが…

それはさておき、どんな質問かというと、

原料の重量に占める、「Raw material」の割合を報告しなさい。
で、「Raw material」は何なのかというと

1.バージン品
2.製造段階で発生した廃棄物をリサイクルした樹脂
3.使用済廃棄物をリサイクルした樹脂

2列目で、どれが報告できるかを選択すると、それに対応する列が現れるので、そこに記入すればよいようです。

樹脂成形の現場では、投入した樹脂が、全部製品になることはありません。立ち上げ時は、安定するまでは何ショットも打ちますし、ペケ品(不良品)もでる。ランナーも成形には必須ですが、製品にはなりません。

このような樹脂は、熱履歴は受けていますが、汚れなどは全く介在していない、ピュアな「廃棄物」です。

他方、一旦製品となってお客様の元へわたり、使用に供された後廃棄されたものは、様々な汚れや夾雑物が含まれた、まさに「廃棄物」です。

前者が2、後者が3ということでしょう。

6. プラスチックポリマーの生産に関する指標


7. 耐久消費財・部品の指標


8. プラスチック包装材に関する指標

この質問を設定している理由としては、

1.経時的なプラスチック生産のトラッキングを可能にするため
2.再生材の需要や予想される傾向を把握するため
3.リサイクル率の傾向を把握するため

としています。

個人的には、CDPがこんな情報まで含むプラットフォームになる必要があるのかとは思います。穿った見方かもしれませんが、必ずしも安くはない手数料を徴収するようになったことが、影響しているのではないでしょうか。

さて、包装材のメーカーは、さらにもう1つ質問が課されています。

9. プラスチック包装材に関する指標

「販売したプラスチック包装材の循環可能性を示してください」

この「循環可能性」というのがピンときませんが、「再利用性とリサイクル製に向けた傾向と進捗を示すため」とありますので、企業に、リサイクルしやすい商品開発を促したいのでしょう。

こうなると、原油やガスから重合してペレットを合成する、上流側の開発者に頑張ってもらうしかないですね。といいますのも、成形メーカーが購入するペレットは、酸化防止剤や、難燃剤、軟化剤もろもろ、様々な副資材が練り込まれているんです。

さらに、求められる機能を発揮するために、複数の樹脂を同時に射出して、成形品を得ています。例えば、カフェラテや焼き肉のたれ、かつお節のパック、レトルト品などは、あの薄い厚みの中に何層もの樹脂が積層されているんです。

「リサイクルしやすい」ということは、混ぜ物が極力少ないということなので、上記のようなことをしないで済むような原料を開発してもらうしかないということになる訳です。

とはいえ、CDPのプレゼンスは、法的拘束力を上回ると言っても過言ではない状況において、粛々と対応せざるを得ないのが現実でしょうか。

せっかく費用を支払って回答しているのだから、もっと活用していきたい。
そんな皆さんを、応援します。一緒に、危機を機会に変えていきましょう。

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