見出し画像

さ〜て、来年のCDPは?

2022年版のCDP質問書は、21年10月に改訂が行われたTCFD提言が盛りこまれました。加えて、採点対象外であるものの、C15:生物多様性の設問も新設されました。

来年は、同様に採点対象外であるものの、海洋プラスチック汚染の広がりを反映して、これに関連する設問も加わります。これは、以前のnoteでご案内済です。

「来年の変更点はこれくらいかなぁ」と思っていたところ、序の口だったことが、先日ブログで明らかにされました。

来年は、新しい戦略の一環として、海洋・土地利用・食糧生産・廃棄物など、より幅広い環境問題をカバーするよう改善予定だそうです。海洋プラスチックに関する設問追加は、この一環だったんですね。

今年新設された生物多様性も、さらに新規の質問が予定されてるとか。

詳細は分かりませんが、このような記述があります。

CDP will begin scoring all companies against scientific benchmarks reflecting their historic, current and projected impacts; product portfolios; and investment and transition plans.

CDPは、過去・現在・未来の影響、製品ポートフォリオ、投資および移行計画を反映した科学的ベンチマークに照らして、すべての企業の採点を開始する予定です。(筆者訳)

これにより、「企業の野心と目標に対する達成度を明確に評価することができるようになる」としていますが、スコアリング基準はどのように変化するのでしょうか。興味津々、戦々恐々といったところかと。

ここで思い出されるのが、CDPのポリシーです。

You can’t manage what you don’t measure

測定できないものは、マネッジできない。

だから、CDPは企業にバリューチェーン全体の排出量算定を求め、公表しているのです。算定が目的ではなく、それによりホットスポットを特定し、削減活動に繋げていくことを企図しているんです。

このような背景の下、気候変動から生物多様性、海洋・土地利用変化等々へその対象範囲を拡げているのでしょう。

「野心と目標に対する達成度」が明確に評価されるのであれば、やらざるを得ませんし、やる価値もあるでしょう。CDPとして「新しい戦略の一環」であればこそ、他社に先んじることができる可能性もあるからです。

では、何をどうすればよいのか。
ブログには、こうあります。

Businesses and the finance sector must be engaged for a biodiversity-positive recovery, mainstreaming biodiversity in their planning and investments.

これまでは、排出量の算定及び削減活動を通して気候変動対策に取り組んでいたところ、事業経営において、生物多様性に配慮した取り組みにも軸足を移して行きなさいということ。

いやいや、これでも分かんないよ。確かにそうです。
なので、もう一度。

You can’t manage what you don’t measure

具体的には、新しくカバーするとしている「海洋・土地利用・食糧生産・廃棄物」に対応したSDGsのターゲット、6・7・12・13・14・15に対する自社の影響を測定・開示することだと思います。これには、自社が及ぼす影響と、自社が受ける影響の両面を含むと考えます。(ダブルマテリアリティと言います)

このような企業や金融セクターによる開示は、国連や国などが開示する公式なデータを補完します。すると、生物多様性の回復に取り組もうとしている国、地域、事業者、個人などなど、幅広い主体が、開示情報を基に様々な活動を行うことができるでしょう。

「測定されているから、マネッジできる」状態ですね。

ということで、回答書を提出してひと息ついた後は、来年のことをぼんやり描きながら「傾向と対策」を考えていきましょうか。

もしよろしければ、是非ともサポートをお願いします! 頂いたサポートは、継続的に皆さんに情報をお届けする活動費に使わせて頂きます。