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セメントセクターガイドラインリリース(4)

セメントSDAの説明もシリーズでお届けしておりました。
COP27が始まって間が空いてしまいましたが、4回目。
今回は、算定方法についてです。

前回までは、こちらです。

最初に、セメントSDAを使用して原単位目標を立てる場合について。

SDAの原単位に従う場合、スコープ1と2の目標計算は、 tCO2/t セメント質製品、またはtCO2/t セメント(等量)で行われなければならない。

セメントSBTガイダンスより

ここで、「セメント質製品(Cementitious products)」という耳馴染みのない用語が出てきました。これは、セメントSDAに説明は無く、WBCSDが2011年に発行している「the Cement CO 2Protocol v3.0」に定義がありました。

セメント質製品とは、報告会社で製造されたセメント製造用あるいは直接クリンカ販売用のすべてのクリンカと石膏、 石灰石、キルンダスト、混合用に消費されたすべてのクリンカ代替物とすべてのセメント代替物である。

the Cement CO2 Protocol v3.0 (2011)より

まぁ、「セメントの製造に関連する製品群」という程度の理解でよいのではないでしょうか。(詳しい方の説明、お待ちしています)

もう1点、よく分からないのが「等量(equivalent)」

いえ、概念は理解できます。CO2等量(equivalent)というのと同じだろうなということくらいは。でも、にわかには分かりづらい。ということで、こちらも調べてみると、同様に「the Cement CO 2Protocol v3.0」で説明されていました。

セメント(等量)は、工場で生産されたクリンカーから工場固有のクリンカ/セメント係数を適用して求めたセメント生産値である。従って、ある工場で生産されたクリンカはすべて同じ工場でセメント生産に消費されると仮定し、実際の工場固有のクリンカ/セメント係数を適用した仮想のセメント生産量である。

the Cement CO 2Protocol v3.0 (2011)より

t セメント(等量)を用いた原単位の計算式は、以下になるようです。

the Cement CO2 Protocol v3.0 (2011)より

セメント製造による排出量を、クリンカ製造による排出量(自家消費分+販売分:生産した分は全て自家消費すると仮定するので)で割った値に、クリンカ/セメント(等量)ファクターを掛けた値です。

「クリンカ/セメント(等量)ファクター」とは何ぞや?
こちらも、the Cement CO 2Protocol v3.0 (2011)に、算定式がありました。

the Cement CO2 Protocol v3.0 (2011)より

この係数は、自社でのクリンカ消費量に基づくため、分母には販売されたクリンカは除かれる一方、購入され消費されたクリンカは含まれるようです。

ということで、「tCO2/t セメント(等量)」という原単位の計算の方法は分かりました。収集するデータは、以下のデータということになりますね。

・セメント製造による排出量
・クリンカの生産量
・クリンカの自家消費量
・クリンカの販売量
・クリンカの購入量
・石膏、石灰石、CKD、ブレンドされるクリンカ代替物の消費量

当該セクターに暗い自分ではありますが、事業者に上記データを依頼すれば、算定支援は何とかできそうです。


「tCO2/t セメント(等量)」の原単位の計算方法が上記になりますが、「tCO2/t セメント質製品」についても、説明しておきますね。

the Cement CO 2Protocol v3.0 (2011)より

「等量(equivalent)」はないので、セメント製造による排出量を、「クリンカの生産量」「セメント質製品の生産量、石膏、石灰石、CKD、ブレンドされるクリンカー代替物の消費量」という物理量で割って算出します。

ここで、クリンカの購買量及び消費量が含まれていない理由について、明確な説明はされていませんが、セメントSDAでは、クリンカの購入は、無条件にスコープ3カテゴリー1で算定することになっているため、この点を考慮したものではないかと考えています。


難解な用語が続出で苦労しましたが、次回は、算定に当たり、特にセメントセクターで留意すべき点について説明していきます。

長くなって恐縮ですが、セメントSDAの説明、もう少しお付き合い下さい。

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