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Biodiversity Day

11月16日は「Biodiversity Day 生物多様性の日」でした。

この日は、気候変動の影響を軽減し、緩和と適応、人と自然の回復力の構築に向けた自然ベースのソリューションを活用するため、陸上、淡水、沿岸、海洋の生態系における生物多様性を評価、保全、持続的に利用するための行動を促進し、制度化することを目的に、様々なイベントが開催されました。

議長国エジプトと国連環境計画(UNEP)が主催する開会式では、生物多様性と気候の結びつき(Present)、自然・気候・人間に恩恵をもたらす成功したソリューション(Hope)、気候・自然のための行動を速やかに拡大する方法(Vision)という3つの柱が紹介されました。

オープニングセレモニーでは、エジプト大統領府のFouad環境大臣のスピーチにおいて、紅海のサンゴ礁と関連する生態系を保護下におくことが発表されましたが、私は大賛成です。

というのも、エメラルドグリーンに輝く紅海を上空から見たことがあることに加え、実際に紅海に浸かり、どこまでも澄んだきらめく水面を目の当たりにしたことがあるからです。そこには、生き生きとしたサンゴが至る所に見られ、「守っていかなければ」と思わざるをえない光景でした。


ステージでは、エジプト環境大臣、UNEP事務局長、UNFCCC事務局長など、政府、国際・地域金融機関、民間企業、先住民族、市民社会から多くの講演者が参加し、1日を通して議論が行われました。

議論の内容をさらっと見てみましたが、気候変動と生物多様性の結びつきに鑑み、規模に応じた統合的な対応が急務であること、そして、一貫した緊急行動を約束し、奨励し、可能にする国際的枠組が必要である、と主張していたようです。

生物多様性のこの日、議長国エジプトから、復元、保護、持続可能な管理を通じて、最大24億ヘクタールの健全な自然生態系を確保することを目的とした、生物多様性における”Flagship Initiative"「ENACT - Enhancing Nature-based Solutions for Climate Transformation」設立の発表もありました。

ENACTは、自然ベースのソリューションを活用することで、10億人の脆弱な人々の保護と回復力を強化することも目的としているとか。でも、これって、生物多様性条約との関係はどうなるんでしょうね。

IPCCーIPBES、TCFDーTNFD、SBTーSBTN、京都議定書ー名古屋議定書、カーボンオフセットー生物多様性オフセットなどなど、気候変動の手法を生物多様性にキャリーオーバーしている仕組みが多数ありますが、この際「統合化」した方がよいのでは?とも思ってしまいます。


ENACTの他にも、生物多様性と気候変動の相互関係、生物多様性保全における先住民や地域社会の重要な役割、気候変動の影響に対処しつつ生物多様性を保護・回復するための様々なソリューションが紹介され、大きな注目を集めました。

また、生物多様性のために気候変動資金を活用することの重要性が強調されていました。つまり、生物多様性と気候変動の両方を含むプロジェクトを開発することで、銀行からの融資が受けられるようにするものです。

また、今年の12月に開催される生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)に向けて、現在行われている取り組みを橋渡しすることの重要性も強調されていました。持続可能な世界を実現するためには、気候変動と生物多様性は車の両輪であるという認識は、共有されつつあるのでしょう。

エジプトパビリオンでは、議長国ステージ以外にも、生物多様性の保全と回復を目的としたイベントが開催されていました。

その中には、「気候変動を緩和するための生物多様性と森林破壊への対応-グラスゴーでの約束とエジプト主導の生態系ベースのアプローチイニシアチブの支持」や「健全なサンゴ礁の音を使ったサウンドスケープの作成」(Google社共催)などのセッションがありました。

並行して、グリーンゾーンでは、重要イベントが目白押し。

・#Conscioustech is Saving Coral Reefs and Reviving Marine Biodiversity
・Migratory Soaring Birds Project
・「渡り鳥プロジェクト:渡り鳥を保護するために、エジプトの再生可能エネルギー部門に渡り鳥の保護を統合する」
などなど。

これって、もう、生物多様性条約のサイドイベントですよね。
ということは、来月のCOP15では、逆に「気候変動の日」があるかもです。
こちらのCOPもウォッチせざるを得ませんね(笑)

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