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サスティナビリティ情報開示の行く末を勝手予測

非財務情報、こと、サスティナビリティ情報開示項目については、グローバルでは「アルファベットスープ」が解消されつつあるところ、ステークホルダーのパワーバランスによって、着地点を予測することが困難になってきていると感じています。

こちらのnoteでご案内しているように、国内では、金融庁やSSBJ、経産省などスタンダード・セッター側のみならず、監査法人や検証機関などの審査側、大学等のアカデミア側、機関投資家などのユーザー側、そして報告企業、それぞれの思惑が絡まってくると予測します。

ここで、CDPの立ち位置について考えて見たいと思います。
これまで、noteで何度となく、「CDPは情報開示のプラットフォーム」であり、活用していこうというご案内をしてきました。

2024年質問書からは、気候変動・フォレスト・水が統合され、さらに、生物多様性や人的資本、プラスチックなど、これから、ISSBがテーマ別開示項目を策定していこうとしている内容も取り込むなど、さらに「デファクト」の地位を確かなものにしようと動いていると、感じています。

ですが、果たして、思惑通りに行くのでしょうか。

あくまでも私の個人的な意見としてお聞き頂きたいのですが、「万全ではない」と思っています。

まず、CDPはサスティナビリティ情報開示の「プラットフォーム」と「レーティング」の2つの機能を有していると認識されていると思います。

「万全ではない」と思っているのは「プラットフォーム」機能です。

TCFDは、サスティナビリティ情報を、毎年レビューして、適切に開示することを求めていました。(それを引き継いだISSBも同様)ですが、何をもって「適切」なのか悩むところ、それを一手に引き受けるとしたのがCDPです。

「毎年のCDP質問書に回答していれば、OKですよ」と。

確かに、機関投資家や消費者などのユーザーは、CDPのサイトに行けば、必要な情報が得られると認識しています。回答企業は、「CDPのサイトで開示されているので、参照し下さい」と言えば、手間なしです。

それに加えて、自社のサイトや統合報告書などで開示していれば、万全。

しかし、冒頭でご案内したように、国内では、開示項目に加え、開示方法や開示時期についても議論されており、25年3月31日までには、最終基準が確定します。

その後、金融庁が、SSBJの日本版S1・S2基準を元に、有価証券報告書において開示すべき項目を決定します。当初の適用対象企業は限定的なものの、「金融商品取引法」に基づいて、有価証券報告書への記載が「義務化」されるのです。

開示項目が決まっているので、企業毎の比較可能性も担保されています。
機関投資家などのユーザーは「有価証券報告書」を参照すれば、欲しい情報が得られのです。

つまり、国内においては「有価証券報告書」がデファクトの情報開示プラットフォームとなるのです。

財務情報とサスティナビリティ情報は、やがて統合されていくでしょう。
そうなれば、機関投資家は、ボランタリーであり網羅性に欠けるCDPよりも、義務であり網羅性及び比較可能性が担保された「有価証券報告書」となるのではないでしょうか。

グリーンボンドやサスティナビリティリンクローン等を手がける機関投資家は、信頼性の高いデータを入手することに多くのコストをかけており、企業が自ら開示してくれると助かる、という声を聞いたことがあります。

他方、「レーティング」機能については、まだまだ安泰かなと思っています。

グローバル企業への浸透は非常に進んでいますし、それを参照している環境インデックスもある。「Aリスト」の価値はまだまだ高いでしょう。

ですが、こちらについても、この先いつまでも…ではないかと。

というのも、CDPのレーティングが重要視されるのも、ユーザー側が、サスティナビリティ情報開示について、十分な知見を持っていないからだと思うのです。

先に述べたように、財務情報とサスティナビリティ情報が融合していくのであれば、公開されている財務情報と独自調査結果から投資判断しているのと同様、他人の評価に頼らずに、機関投資家が自ら判断できるように鳴ると思います。

そうなったときに、CDPの「Aリスト」は輝きを放っているでしょうか?

ということで、個人的な「意見」、というか半ば「妄想」をつらづらと書き綴ってきましたが、いかがだったでしょうか。(お気を悪くされたのであれば申し訳ありません。)

皆さんも、色々と思うところがあるかと思います。
決まったことは、まだ何もありません。
一緒に、行く末を議論して行けたらと思います。
コメントお待ちしています。


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