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算定と検証の実際

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躓きやすい算定ルールや検証の現場の話を紹介します。
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#CO2排出量削減

排出量算定〜バウンダリの設定

算定の第一歩は「目的設定」であることを説明しました。 以降の話は、「GHGプロトコルに基づいて算定し報告する」という前提で話を進めていきますので、ご了承ください。 さぁ、次こそは計算だー とはならないのが、この業務。 そうですね。「何を」算定するかを決めないと、ダメですよね。 「算定対象範囲(バウンダリ)」を決める必要があります。 対象範囲としては、以下の2種類の境界を考えます。 1.組織境界 2.活動境界 「1.組織境界」は前回チラ見せした、こういうことです。

排出量算定〜はじめの一歩

前回は、「検証を受けることを前提に、排出量を算定してみましょう」というお話をしました。どうせやらざるを得ないのなら、さっさと始めて、先駆けてスキルアップしておきましょう、というお話です。 今回は、実際に着手しましょうというお話。 算定式は、各所で紹介されているので、勢い具体的にデータを集め出した方もいるかもしれません。 いやいや、その前に、算定対象、バウンダリを決めないと始まらないよ。 確かに、それはそうです。 財務諸表における、子会社、関連会社の範囲のアナロジーで、

排出量算定〜今やらなくていつやるの?

昨年から今年にかけて、算定を支援するサービスを提供する事業者が急増していることは、以前ご紹介しました。 着手した、着手する予定、すべきかどうか検討中。 各社、置かれた状況により様々かと思いますが、事業継続のためには「やらない」という選択肢は無いと思います。 アイドリングストップ ミラーレスカメラ AR/VR EV LED ZEV/ZEH 技術が変われば、制度が変われば、人が変われば….. 「あり得なかった」ことが「有り得る」ことに。 さらには「当たり前」にも

販売した製品の使用による排出量(解説編)

前回、カテゴリー11についての、お題を出しておりました。 次の二つのメーカーになったとして想像してみて下さい。 販売した製品の使用に際し、どのような行為に対して、どのようなエネルギーを必要とするでしょうか。 自家用車 食パン どのような場面を、想像されたでしょうか。 まぁ、そんなに難しく考えることではないのであっさりと。 A.自動車であれば、例えば、 1.移動するときに、ガソリン(軽油、電気)を使う 2.洗車するときに、水道水を使う B.食パンだと 1.焼くと

販売した製品の使用による排出量(出題編)

カテゴリー11「販売した製品の使用」 メーカーにとって悩ましいカテゴリー。 なんってったって、ストーリーを作らないといけないですから。 作る側は、意外とお客様のことを知らなかったりしますし。 算定初年度は手が回らないことが多いです。 これについては、徐々に精度を上げていけばよいでしょう。 今日は、そんな悩ましいカテゴリーの排出量について語りたいと思います。 さて、次の二つのメーカーになったとして想像してみて下さい。 販売した製品の使用に際し、どのような行為に対して、ど何

電力の使用による排出量(出題編)

電力の使用による排出量はスコープ2 発電に用いる燃料の採掘、輸送および送電による排出量はスコープ3 この認識は正しいのですが、バリューチェーン全体を見渡すと?となることがありませんか? まず始めに、カテゴリー3の定義を確認しましょう。 原本「Technical Guidance for scope3 Emissions ver1」にあたるのが王道ですが、日本語訳「スコープ3排出量の算定技術ガイダンス」をご案内。 これを踏まえて、考えてみます。 発電に係わる事業者は、大