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算定と検証の実際

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躓きやすい算定ルールや検証の現場の話を紹介します。
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検証の実際〜その5

現地検証の実際、4回目。 午前の流れを紹介した前回に引き続き、今回は午後の紹介です。 前回はこちら。 工場を見せてもらうに当たっては、検証側は非常に気を遣います。 立入禁止区域があったり、服装・手順が決まっていたり、機密保持上の制限があったり。特に、食品工場は大変ですね。キャップ・マスク・防護服の上、手洗い、消毒、エアシャワーは当然として、筆記用具の持ち込みも不可だったり。 最近は、スマホNGの事業所も多いです。一方、デジカメはOKだったりします。「撮影している」という

排出量算定〜スコープ3 カテゴリー1①

それでは、スコープ3に入っていきましょう。 まずは、カテゴリー1「購入した物品・サービス」です。 スコープ3基準での定義は、こうなってます。 算定する際、最も精度が高い方法は「積み上げベース」です。 サプライヤーに算定をお願いして、排出量データを入手する方法です。 具体的には、赤枠で囲んだデータを依頼します。 場合によっては、サプライヤーにとってのカテゴリー9「輸送・配送(下流)」 まで含めることもあるかもしれません。 しかしながら、これは多大なマンパワーを必要としますし

排出量算定〜はじめの一歩

前回は、「検証を受けることを前提に、排出量を算定してみましょう」というお話をしました。どうせやらざるを得ないのなら、さっさと始めて、先駆けてスキルアップしておきましょう、というお話です。 今回は、実際に着手しましょうというお話。 算定式は、各所で紹介されているので、勢い具体的にデータを集め出した方もいるかもしれません。 いやいや、その前に、算定対象、バウンダリを決めないと始まらないよ。 確かに、それはそうです。 財務諸表における、子会社、関連会社の範囲のアナロジーで、

排出量算定〜今やらなくていつやるの?

昨年から今年にかけて、算定を支援するサービスを提供する事業者が急増していることは、以前ご紹介しました。 着手した、着手する予定、すべきかどうか検討中。 各社、置かれた状況により様々かと思いますが、事業継続のためには「やらない」という選択肢は無いと思います。 アイドリングストップ ミラーレスカメラ AR/VR EV LED ZEV/ZEH 技術が変われば、制度が変われば、人が変われば….. 「あり得なかった」ことが「有り得る」ことに。 さらには「当たり前」にも

素朴な疑問シリーズ〜ダブルカウント

算定しているときにぶち当たる、素朴な疑問。ありますよね。 (というか、そういうことばかりだったりしますが) スコープ3でのFAQでも上位に位置するのは、ダブルカウントだと思います。 例えば、メーカーのカテゴリー9(輸送・配送:下流)は、小売店のカテゴリー4(輸送・配送:上流)ですよね。 メーカーのカテゴリー11(製品の使用)であれば、ユーザーのスコープ1もしくはスコープ2だったりします。 これについては、プロコトルで明確に言及されています。 「スコープ3に内在する」と

スコープ3のカバー率についての疑問

昨日のnoteで、長期SBTのスコープ3のカバー率は90%が条件とお伝えしましたが、補足をしておきます。 まず「カバー率」というときは、そのスコープトータルに対する比率です。 マニュアルに掲載されている、以下の表を見て下さい。 ここに書いていることは、こういうことです、 スコープ1+2の排出量合計に対して最低95%以上カバーしなさい スコープ3の排出量合計に対して最低67%以上カバーしなさい ですが、スコープ1、2はいいとして、スコープ3については、そもそも「合計が